監修:札幌中央病院内科グループ
心臓は、心筋と呼ばれる特殊な筋肉よりできています。心筋の疾患には、①心筋症、②二次性心筋症、③心筋炎、④心臓腫瘍があります。
①心筋症:心筋症とは原因不明な心筋の疾患のことで、心機能面より3つに分類されています。
●拡張型心筋症:左室の著明な拡大と心拍出量の減少が特徴で、働き盛りの男性に多く、予後が悪く心臓移植が行われることが多くあります。
●肥大型心筋症:多くは左室の心室中隔という場所が肥大する病気です。心尖部の肥大がみられるケースも一部あります。
●拘束型心筋症:左室の拡張障害で希な疾患ですが予後は良好です。
②二次性心筋症:原因の明らかなものや全身疾患の一部として心筋が侵されるもの(アルコール、抗がん剤、妊娠、神経筋疾患、膠原病、サルコイドーシスなど)。
③心筋炎:心筋の炎症を主体とする疾患で、原因はウイルスの感染症、各種薬剤(鎮痛薬、精神薬、抗生剤など)などにより起こります。比較的予後は良好ですが、心不全を起こしてくるものは重症です。
④心臓腫瘍:非常にまれな疾患で、多くは良性腫瘍です。
心筋症:動悸、息切れ、呼吸困難などの心不全症状、不整脈(時には致命的)などがみられますが、肥大型心筋症では症状が出ないこともあります。
○胸部エックス線検査
胸部のエックス線上、中心部をしめる心臓影の拡大がみられることにより(心胸郭比50%以上)、とくに拡張型心筋症などが疑われます。
○心電図
特徴的な心肥大所見とST.T部分(波形の一部)の変化をみとめます。また、いろいろな不整脈もみられ、とくに拡張型心筋症では致命傷な不整脈がみられることもあります。
○心エコー検査(心臓超音波検査)
胸壁上の探子より超音波を出す検査です。これにより心臓の運動(機能)の状態、心房心室の壁の厚さ、心臓の弁の動き方、弁口の面積(狭窄の有無)などが分かります。この検査により、特徴的な中隔、心尖部の肥大や心室の拡大、心拍出量の低下がみられれば診断がより確実になります。痛みや苦痛を伴わない検査で、短時間でできる有用な検査です。
○心臓カテーテル検査
そけい部の血管よりカテーテルと呼ばれる細い管を挿入する検査です。心房、心室の造影をはじめ、心房心室の圧力、心臓から拍出される血液量の測定など行うことができます。また、左室圧や左室の拡大の程度、心不全の程度から、診断・治療方針の決定に大事な情報を得ることができます。
○心筋生検検査(心筋バイオプシー)
心臓カテーテル検査と同様に、そけい部の血管よりカテーテルと呼ばれる細い管を挿入します。心房、心室の心筋の一部を採取して光学顕微鏡などで観察し、心筋症に特徴的な心筋細胞の変性、肥大、間質の線維化などが確認できれば診断が確実になります。
心筋症(二次性も含めて)と心筋炎の治療原則は、まず原因疾患があればこの治療と原因物質の除去、次に心不全そのものの治療が行われます。
○内科的治療法
①心不全の治療:身体労作の軽減、塩分摂取の制限(心不全の程度にもよるが1日7g以下、重症例では5g以下)、水分摂取の制限、不整脈の治療、ストレス除去、薬をきちんと服用することが大切です。呼吸困難に対して酸素が投与され、重症例ではモルヒネが投与されます。患者さんは横に寝た状態では苦しいので、半座位(45度の角度で座る)とします。
▶︎利尿剤:うっ血の治療として利尿剤(ラシックスなど)を使用し、体内に貯留した水分を体外に出します。
▶︎ACE阻害薬:心不全患者さんの予後の改善が証明されている薬です。
▶︎ベータ遮断剤:拡張型心筋症の一部の患者で心機能の改善が報告されています。
②不整脈の治療:抗不整脈剤の投与やペースメーカーの挿入などが行われます。
○外科的治療法:心臓移植、左室の部分切除が行われます。
原因不明なものは予防不可能ですが、二次性心筋症では原因疾患の治療と原因物質となるものをなるべく使用しないことが必要です。また、検診時に不整脈、異常心電図として発見されやすい病気ですので、必ず定期的に検診を受けることが大切です。
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