【病気の知識】

A型肝炎

この記事のキーワード : 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

どんな病気

 肝炎とは肝臓に炎症が起こり肝臓の細胞が破壊される状態をいい、その原因の主なものとしては肝炎ウイルス、アルコール、薬剤、自己免疫などがあげられます。そのうち肝炎ウイルスによるものが70%以上を占めます。ウイルス肝炎にはかなり昔から、経口的に感染するA型肝炎と、血液を介して感染するB型肝炎、C型肝炎ウイルスがあります

 A型肝炎は糞便中に排泄されたA型肝炎ウイルス(HAV)に汚染された飲料水や食物を摂取したりして経口的に感染します。潜伏期は約4週間で、大部分は発症2~3カ月で治癒し、慢性肝炎になることはない予後の良い肝炎です。ごくまれに劇症肝炎になり重篤な経過をとる例もあります。

 人糞を野菜などの肥料にしていた時代に育った50才代以上の方の半数以上はA型肝炎に対する抗体をもっています。つまり、A型肝炎にかかったことがあるはずなのですが、恐らく「私はそんな肝炎にかかったことは無い」と言う方が多いと思われます。それはなぜかというと、子供の頃にA型肝炎に感染した場合症状が軽くて済むことが多いからなのです。そのようにA型肝炎と知らないまま治っているケースを「不顕性感染」といい、日本では50才代以上のHAV抗体陽性者の大半がそれに該当すると考えられます。

 A型肝炎ウイルスは経口的に感染し肝臓で増殖します。増殖したウイルスは腸管に出て便と一緒に排泄されるため、これに汚染された食べ物や、井戸水そして貝類は次の感染の原因となります。よく生ガキを食べたら肝炎になったという話を聞くことがあります。A型肝炎ウイルスが屎尿とともに川から海へ流れ出て貝に取り込まれ、それを生で食べたため感染したものと考えられます。A型肝炎ウイルスは熱に非常に弱いので、一旦ボイルすれば感染することはありません。

 日本、タイ、スウェーデンのHAV抗体陽性率(=A型肝炎にかかったことのある人の率)をみるとタイの人々はそのほとんどが10歳になるまでにはHAV抗体が陽性となっています。つまり、タイ国民の殆どの成人にはA型肝炎ウイルスに対する抗体(HAV抗体)ができているわけです。このHAV抗体は、A型肝炎ウイルスを中和できる抗体ですので、タイ国民は大人になってからA型肝炎にかかることはまずありません。それは、丁度おたふく風邪(ウイルス)に子供の頃にかかると、大人になってかかることはないのと同じ理屈です。

 それに比べ、スウェーデン人の場合、50~60歳の人々にはHAV抗体が認められA型肝炎にかかった証拠があるのですが、それより若い人はほとんどA型肝炎にかかっていないこととなります。日本はこの2つの国の中間に位置しております。即ち、30~40才以下のほとんどの日本人はA型肝炎に対する抗体を持っていません。

 このように、国によって違いがあるのはA型肝炎は経口的に感染するウイルスであるため、その国の衛生状態との関係が大いにあるためです。従って、恐らくスウェーデンのほうが日本よりかなり早くから衛生環境が整っていたことを表しているものと考えられます。又、日本も衛生環境が良くなったことが、逆に若い世代がA型肝炎に罹患する危険性を増してしまっているということもできるのです。

どんな症状

 38℃以上の発熱をもって急激に発症します。成人では黄疸を認めることが多いのですが、小児では黄疸例は少なく症状も軽いことが多いようです。食思不振、下痢などの消化器症状に加えて全身倦怠感などを認めます。B型やC型の急性肝炎に比べて症状が強い傾向があります。肝臓は腫れて痛みを伴うこともあります。また経過中肝臓外の合併症を認めることがあります。例として腎不全、溶血性貧血、赤芽球ろう、再生不良性貧血、ギランバレー症候群などがあります。

どんな診断・検査

 肝機能検査ではGOT、GPTの上昇は著明でALP、γGTPも上昇する例が多くみられます。末梢血液検査ではリンパ球が相対的に増加し、時には異型リンパ球の出現をみます。TTT、IgMが上昇するのが特徴ですが。最終的にはIgM型のHA抗体で診断します。感染の既往者はIgG型のHA抗体が陽性となります。肝臓は腫れて超音波検査などで確認することができます。

どんな治療法

 急性期の治療上もっとも大切なことは安静と食事療法で、一般的には入院治療を行います。食欲不振や悪心を訴えることが多いので、脂肪含有の少ない糖質中心の食事に良質の蛋白を与えます。ほとんどの症例は薬物療法の必要はありませんが極端に食欲の低下した患者さんには輸液を行うこともあります。肝機能悪化が著明で劇症肝炎に至る例では血漿交換などの治療を行いますが、死に至る例もあります。

難治性むちうち症からなぜ多くの不定愁訴がおきてしまうのか?
難治性のむちうち症を改善 後編 東京脳神経センター 整形外科・脊椎外科部長 川口浩医師

前編『画像診断できない難治性のむちうち症を独自の治療法で改善』

原因不明で治療法がなく多くの患者さんが回復をあきらめていた難治性のむちうち症。東京脳神経センターで進む独自の治療で、めまい、動機、吐き気などの全身症状やうつ症状などの不定愁訴が大幅に改善しているという。その具体的な成果についてお話を伺った。

Doctors marche アンダカシー
Doctors marche

医療法人社団 顕歯会 デンタルみつはし 理事長…

三橋純

近畿大学理工学部生命科学科ゲノム情報神経学准教授…

西郷和真

小笠原記念札幌病院腎臓内科。日本中毒学会認定クリ…

横山隆