監修:札幌中央病院内科グループ
足の静脈が拡張してふくれ上がり、曲がりくねってしまう状態を静脈瘤といいます。また、静脈瘤は、食道、手、肛門の周囲にも起こります。静脈の壁は、内側より内膜、中膜、外膜の3層構造になっています。静脈の内側には、ところどころに逆流を防ぐための半月状の弁があり、壁の厚さが著しく薄くなっていてます。静脈と静脈は各所で連絡していて、これを「吻合」と呼んでいます。
静脈瘤の多くは、この静脈の弁が機能しないために静脈の血液が一部分に集中したり逆流するために起こります。そして下肢の表面静脈部が拡張してふくれ上がり、曲がりくねってしまうのです。静脈瘤は立った状態のときに著明になりますので、長時間立った姿勢で仕事をする人によくみられます。また、女性に多くみられ、とくに妊娠中の女性や出産を経験した女性に多く発症します。遺伝的素因によるものもあります。なお、血栓性静脈炎(静脈に血液が詰まってしまう炎症)により起こったものは「二次性静脈瘤」と呼ばれています。
下肢静脈の拡張、屈曲、蛇行などは立った状態のときに著明になります(静脈がふくれ上がります)。自覚症状としては下肢の倦怠感、疲労感、痛みなどですが、病気が進行すると足の色が変わったり潰瘍(傷やしこり)ができたりします。
下肢の大伏在静脈領域(約80%)に拡張した静脈がみられるので診断は容易です。
○静脈造影検査
造影剤を静脈に注射してエックス線写真をとります。静脈瘤と血管障害の範囲の診断が可能です。
○ドップラー血流計検査
静脈上の探子より超音波を出す検査です。血流の逆流を認めることで診断が可能です。痛みを伴わない検査で短時間でできる有用な検査です。
○内科的治療
長時間の立位状態を避け、弾性ストッキングを着用します。眠るときに下肢を少し挙上すると症状が軽減します。炎症があるときには抗炎症剤などが投与されます。
○外科的治療
痛みや倦怠感などの症状が強いとき、潰瘍、感染症などを起こしたときは外科的治療(手術)が適応になります。妊娠中の静脈瘤は、そのほとんどがしだいに消失していきますが、思わしくないときは、出産後に改めて手術の必要があるかどうかを決めていきます。
●ストリッピング:手術で、静脈自体を引き抜いてしまいます。
●硬化療法:静脈内に特殊な硬化剤を注入し、その後直ちに弾性包帯で圧迫する方法です。
長時間の立位仕事を避け、肥満の改善と適度の運動を心がけることが大切です。
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