【病気の知識】

外反母趾

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どんな病気・症状

 足の親指(第1趾)の付け根(MP関節:中足骨と趾骨との関節)が痛む症状で、この部分に、時に赤く腫れることもある水袋(バニオン)ができて圧力で痛みます。第1趾は小指(第5指)側に曲がって第2趾と重なるほど曲がる場合があります。進行すると親指を反らせる方向の動きが固くなり、立膝座りに支障がでてきます。MP関節は次第に小指側に脱臼しながら変形性関節症という関節軟骨の破壊にいたります。

 弥生人でもこの外反母趾が見られたそうで、靴だけが原因ではなく、なりやすい素因が大きく、幼児期から外反が見られるケースがあります。性別では男性よりも女性に多いとされています。骨組みが柔軟であるため型崩れしやすい、出産の都合上、骨盤の幅が広く、歩行するときの重心の動揺が大きく負担がかかる、などの説もあります。オシャレ優先での靴選びは悪化や進行の原因になっています。

 足の形は第1趾と第2趾長さで分類されています。日本人では以下の通りです。

○エジプト型(オブリーク型):親指が最も長く、つま先のラインが斜め=70%
○ギリシャ型:第2指が長い=20%
○スクエア型:指の長さの差が少なく、つま先が四角い=10%

 市販されている靴の多くは、つま先部分が細い木型でデザインされています。これはギリシャ型向けです。大多数のエジプト型の足の日本人には合わないことになります。

 裸足でデコボコの地面を歩いていた生活では、足の指には地面をつかむ仕事がありました。草履や下駄の鼻緒をはさむ仕事もありました。足袋をはくにも親指を広げる意識がありました。ゴリラやチンパンジーの足は親指が短く横に向いてつかむ仕事を残しています。ヒトは次第に親指の働きを忘れてしまったことも外反母趾の原因となっています。

どんな診断・検査

 第1趾が第2趾と重なる方向に曲がり、MP関節の内側に柔らかい水袋と第1中足骨の出っ張りが目立ってきます。レントゲン検査では第1趾外反が見られるのは当然として、第1趾の第1関節も外反を見ることがあります。MP関節の亜脱臼、変形性関節症変化も見られ、足裏(MP関節の真下)では種子骨と呼ぶ第1趾を曲げる腱に付属する小さな骨が脱臼してみえます。

 足の甲では中足骨の並びが崩れ、本来の扇形のはずが、第1・第2中足骨の角度が大きく開き、幅広足にみえます。第1中足骨は体の中心線方向へ向きます。中足骨と関節で繋がる親指の骨(基節骨)は逆に外側に向きます。親指の第1関節でも、爪のある部分(末節骨)が更に内側に向いています。これはちょうどハガキ1枚を両端から押すと途中が「く」の字に曲がる様子と似ています。親指を曲げ伸ばしする力は、親指を圧縮する力となります。いったん曲がり癖がついたら、あとは力がかかる度にもっと変形していきます。こうして外反母趾は進行し悪化していきます。

どんな治療法

 外国には足の資格専門治療士さんがいます。それは靴で生活する民族ではどんなに足の問題が多いかという現実を反映するものでしょう。魚の目やタコなど、足の問題は専門治療士さんの仕事です。外反母趾も基本的なことはここで治療します。手術が必要、正式な装具が必要という場合に医療機関を受診する分業です。日本では医療との線引きで治療行為は出来ません。

 でも最近は、日本でもシューフィッターさんのいる靴屋さんが増えています。足に合わせて靴を選び、足のトラブルがあれば靴型の修正など工夫してくれます。

○治療1
 足に合わない先の尖った靴をやめましょう。どんなに高級なブランドでも足型に合わないと意味がありません。

○治療2
 1日中靴を履いたままの生活ではなく、ときどき靴を脱いで足指を開放してあげましょう。靴自体も通気することで型崩れなく清潔に保たれます。室内では草履や足袋ですごすことも一つの方法です。

○治療3
 足指を鍛えましょう。現代人は足指が動かせることを忘れてしまっています。
▶︎足でグーチョキパー
▶︎足指で床に敷いたタオルをたくし込む
▶︎テーブルにつかまって足指を広げ、踵を上げる、つま先をあげる
▶︎幅広輪ゴムやリボンの輪を用い、両足親指にかけて引っぱりっこ

○治療4
 外反した親指を矯正する専用の装具、道具、サポーターなど。第1趾と第2趾の間にはさんでおくタイプだけでも様々です。靴を履いたまま使用できるものと、靴を脱いだときだけ使い歩行ができるもの、夜間だけ使うもの、などがあります。一長一短があります。たくさんの商品が選べるということは、そのどれか1つで完全に治せるものはないとも言えます。悪化を防ぎ、痛みを軽減する補助的な方法と考えてください。町の薬局、スーパー、DIYのお店、デパート、靴屋さんなどいろんなお店で手に入ります。

○治療5
 手術という方法は、いよいよ日常生活に支障がありすぎる、痛くて仕事にならないという場合の手段です。その昔、外国のモデルさんが、細い靴が履けないのなら足指1列を切り取ってもいい、と言ったという伝説もあります。ここまで悲壮な覚悟で手術するのは医師も大変な覚悟が必要だったでしょう。
 外反母趾の手術にはいろいろな方法と工夫があります。変形の角度や、関節の脱臼の程度、関節軟骨の壊れ具合などで手術の方法が決まっていきます。仕事で必要な動作を想定して手術方法を選択する場合もあります。どの手術でも何かを犠牲にして目的を達成する、痛みや変形を軽減する、ということですから、完全に若い時と同じになると考えてることはできません。100困っていたが手術で20まで良くなった、という発想です。

どんな予防法

 前項で述べましたが、外反母趾になる前に足をいたわってあげることが大事です。ハイヒールが不自然であることはご承知でしょうが、中ヒールであっても、婦人靴はデザイン優先のものが多いようです。踵がコツコツ音のするほど固く、接地面がすぼまっている、靴底が薄く固くクッション性に欠ける、靴底が足自体より小さく、脱いだときに小さく見せるためのズルイ作り、靴紐で甲周りを固定する機能に欠ける、踵を包む部分(腰玉)がきちんと踵を包み込む働きをしていない、アキレス腱を保護するデザインを無視している、などなど足の都合からは不満だらけです。

 インターネットで検索してみると、これまで述べた点を理解して、足に優しい正しい靴理論で靴を作るお店やメーカーさんが増えつつあります。足のトラブルは全身のトラブルにつながる、と足専門家は申します。あなたの足に合った靴をさがしてみてください。

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