日本人のほくろの多くは、黒い色素斑や少し出っ張りのある形で体表に現れます。白人は通常の皮膚色と同じ場合も多く、日本人でも皮膚と同じような色調をしていることがあります。ほくろが黒や茶色に見えるのは、メラニンという褐色の色素がその部分に集中しているため。
一般なほくろは、メラノサイトと呼ばれるメラニン生成の細胞が表皮に多く集中して存在する場合と、母斑細胞と呼ばれる細胞増殖で構成されているものがあります。ほくろの色の濃さは、前述のメラニン量に関係します。
母斑細胞は、皮膚の浅い部分のみの場合はほとんど皮膚面から隆起しません。皮膚の深い部分で増殖していると隆起してきます。
ほくろで問題なのは、一見同じように見えても、別の病気である可能性が否定できないこと。その代表は、悪性黒色腫(メラノーマ)といわれるほくろのがん。その間のグレーな部分の病変は、将来がんへと変化するかもしれません。
これまでに、足の裏のほくろは危ないという話を耳にしたことがある人がいると思います。これは、立って歩くことによって常に刺激を受けている足の裏では、その刺激により、ほくろががんになる可能性があるという説からきているものと思われます。それでは、刺激を与えれば、本当にほくろはがんになるのでしょうか。
メラノーマの患者さんの問診では、昔はほくろだったという話をよく聞きます。これは二つの解釈ができます。もともと本当にほくろで、何らかの刺激(外傷やヤケド、男性の顔面では髭そりで傷つけるなど)により悪性化した場合と、もう一つはもともとがんだった場合です。
それでは、足の裏のほくろや、刺激を受けやすい部分のほくろをどのように扱ったらよいかを説明しましょう。皮膚科専門医の間では、足の裏の、重みがかかる部分に後天的に出現し、色調にむらがあったり形がいびつで、大きさが6mmを越えるものに関しては切除しておいたほうがいいという考えがあります。そのほか急に大きくなったとか、急に色が濃くなったというのは、悪性化の可能性を含んだ一つの徴候です。
このようなほくろの場合、外科的切除をして病理診断をすることが必要です。ほくろは、体表のあらゆる部分に出現します。肩など日焼けをしやすい部分には紫外線による色素斑が多くみられますが、そのなかにもがんまではいかないものの、通常の良性のほくろではないグレーな病変が現れることがあります。素人目にはほくろに見えても、実際は違う場合も多くあるのです。
体の皮膚に、同じ色から黒色までの色素斑、丘疹(隆起)が表われます。
皮膚科専門医であれば、視診でほとんどの場合判断がつきます。がんや将来がんになるかもしれない中間の状態のものでも、視診によりある程度は診断がつきます。ただのほくろではないと判断した場合、デルマトスコープ(一種の拡大鏡)で詳細に観察します。それでも判断できない場合は、外科的に切除して病理組織学的に診断します。
良性のほくろは、電気メスを使った電気焼却法や、炭酸ガスレーザーによるレーザー治療を行います。これらは病変を焼くため、病理組織検査ができません。そのため、視診で確信がない場合は、外科的に切除して病理組織学的診断を行います。
いちばん確実な治療法は、メスなどを用いた外科的切除。ほくろをくりぬいた後、直径6mm程度なら自然に皮膚の再生を待つほうが、跡が目立ちません。それ以上大きいものは、糸を使用して傷を閉じます。
シワの多い部分では、シワにそって線状に縫合すると目立ちません。シワがあまりない場合は、傷の周囲を巾着袋のように糸をかけて締め、小さな丸い傷にします。その後は自然に皮膚が再生するのを待ちます。
電気メスや炭酸ガスレーザーの治療には、麻酔を用いますが切除より簡単です。あまり隆起していないほくろに適応します。隆起していても治療可能ですが、母斑細胞が深くまで存在することが多く、再発するケースが少なくありません。再度治療を繰り返せますが、隆起のあるほくろに電気メスや炭酸ガスレーザーの治療を選択する場合、複数回の治療が必要だと考えておくべきでしょう。
レーザー治療が電気メスより優れている点は、レーザーの照射部分への限局的なダメージしか起こらないことです。傷の治りも早く、傷口の初期の赤みも少ないが、母斑細胞を取り残す確率が高くなります。また、炭酸ガスレーザーによる治療は保険が使えず、自由診療扱いになります。
一方で、電気メスや炭酸ガスレーザーでのほくろ治療は、熱による刺激で細胞が悪性化する可能性があると主張する医師もいます。そのため、メスなどの外科的切除は、治療が確実で病理診断もできるため、スタンダードな治療といえます。
すべての治療において、傷跡は必ず残ります。いかに自然にできるかが治療の選択条件の一つにあげられるでしょう。
ほくろは、誰でも自然にできるので予防法はありません。加齢とともに増えるのが一般的です。ほくろは、家系による遺伝も影響します。
取り除く以外に、塗り薬や飲み薬での治療方法はありません。
塩素系洗剤による自殺も苦しまずに死ねない | |
GLP-1 薬、うつ病にも効果あり | |
インド人介護スタッフの可能性 | |
風邪薬「パブロン」でトリップする人たち | |
松尾芭蕉の死因は旅の疲れ? | |
赤ちゃんの“怒り”は自我の目覚めのサイン | |
「休肝日」は何日が有効なの? | |
「座骨神経痛」という病名は存在しない | |
下痢止めには「正露丸」か「ストッパ」か? | |
胃がんで急逝した手塚治虫の最期の言葉は? |
前編『コロナだけじゃない。世界中で毎年新たに3億7000万人超の性感染症』
毎年世界中で3億7000万人超の感染者があると言われる性感染症。しかも増加の傾向にある。性感染症専門のクリニックとしてその予防、検査、治療に取り組む内田千秋院長にお話を伺った。
あおぞらクリニック新橋院院長。1967年、大阪市…
(医)スターセルアライアンス スタークリニック …
ジャーナリスト、一般社団法人日本サプリメント協会…