【病気の知識】

生活習慣病

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どんな病気

 生活習慣病とは一般的に、食事、運動、アルコール、喫煙、休養・睡眠などにの生活習慣の悪化が発病に強い影響を与える病気で、遺伝的な素質、環境因子も発病に大きく関わってきます。以前は三大成人病(癌、心臓病、脳卒中)などといわれていましたが、成人の定義がはっきりしないことや、小児や成人前にもこれらの病気が増えているために、最近はこのように呼ばれています。生活習慣病は、生活習慣を改善すれば発病を食い止め、悪化を防ぐことができます。つまり、自身が予防・管理できる病気であると認識することが重要です。

どんな症状

 生活習慣病と一口で言っても、様々な病気が含まれています。

①肥満症
②糖尿病・糖代謝異常
③高脂血症(高コレステロール血症、高中性脂肪血症、低HDL[=善玉]コレステロール血症)
④高血圧
⑤痛風・高尿酸血症
⑥心臓の冠動脈硬化症(狭心症、心筋梗塞)
⑦脳動脈硬化による脳卒中(脳梗塞、脳出血)
⑧脂肪肝
⑨整形外科的には変形性関節症・腰椎症

 以上の中で肥満は②~⑧のすべてに大きくかかわっているので特に注意が必要です。各々の病気の症状などは、各病気の解説を参考にしてください。

肥満と生活習慣病

 生活習慣病に密接にかかわるのが肥満です。肥満とは脂肪が体に過剰に蓄積した状態をいい、日本肥満学会ではBMI(ボディー・マス・インデックス/BMI=体重kg÷身長m÷身長m)を計算して肥満を判定しています。
それによると、BMI22が理想体重(理想体重=22×身長m×身長m)で、25以上が肥満と判定され、特に病的な肥満は肥満症と診断されます。

 日本人ではBMI値が30を超えるようないわゆる高度肥満は人口の2~3%と少ない(米国では人口の20%)のですが、生活習慣病の頻度は欧米と同様で、BMI25以上の肥満者の生活習慣病の発症頻度は、それ以下の人に比べ2倍以上になっています。つまり日本人は少し肥っても生活習慣病になりやすいのです。

 特に、肥満のなかでも問題となるのが、腹の中で腸や腎臓の周りに蓄積する内臓脂肪です。内臓脂肪が増加した状態を内臓脂肪型肥満(上半身肥満と同義)といい、直接心臓・脳血管障害などの動脈硬化性疾患の原因になると同時に、肥満からいくつかの生活習慣病を介して動脈硬化を促進すると考えられています。それに対し、腕や足・ヒップ周囲などを中心に蓄積する皮下脂肪は、生活習慣病との関わりが薄いといわれています。

どんな診断・検査

 生活習慣病は自覚症状のないまま進行するタイプが多いので、健康診断などで初めて気付くケースや、他の病気の検査・診断過程で見つかることも多々あります。個々の生活習慣病の確定診断方法は、各病気の解説を参考にしてください。

どんな予防法

○肥満の人は減量が第一
 肥満が生活習慣病の原因になることが多いので、肥満の人はまず減量することが大切です。これによって病気の予防あるいは治療が可能です。標準体重以上の人は標準体重を、かなり肥っている場合は現在の体重の10%減、標準体重以下の場合はウェストサイズ85cm以内を目標にしましょう。若い頃やせていたという人は、もともと肥ることが体に合わない体質である可能性が高い――つまり少しでも肥ることが生活習慣病の原因となるので、身長の伸びが止まった20歳頃の体重を理想体重と考えていましょう。

○食事はバランスよく
 控え目にやせるためには食べる量を減らす必要があります。肥満を防ぐ食事の基本は、まず、1日の食事量を控えめにして、3食にバランス良く分けることです。特に、主食、タンパク質、油のとりすぎには注意しましょう。さらに、野菜、海藻類、きのこなどは十分にとり、血圧を上昇させたり、食欲も高める塩分の摂取量も控え目にしましょう。

○アルコールはほどほどに
 生活習慣病のない人が少量のお酒を飲むのであればかまいませんが、生活習慣病のある人は必ず医師に相談しましょう。ちなみに、少量のお酒とは1日にビールで500cc、日本酒なら1合、ウィスキーならダブル1杯程度です。また、週2日の休肝日を忘れずに。アルコールは食欲増進剤になると同時に、おつまみも高カロリーのものが多いので十分に注意してください。アルコールを飲む日も、主食とおかずや野菜をバランス良く食べましょう。

○適度な運動を忘れずに
 生活習慣病の予防のためには適度な運動が効果的ですが、まず、いまの自分の体が運動できる状態なのかどうかを考えてみることが大切です。ほとんど運動をしていない人が、急に無理な運動をすると良くありません。最初は軽い有酸素運動(ウォーキングなど)をおこない、徐々に負荷をかけるようにしていきましょう。また、病気のある人はウォーキングが最も安全な運動です。食事の時間に関わりなく週3日以上、少し早足で通勤や買い物のついでに20分以上休まずに歩きましょう。その他、軽いジョギング、水泳、水中歩行、サイクリング、固定式自転車なども効果的です。

○たばこは絶対にやめる
 たばこは現在体に悪いということがわかっていますが、良いという点はほとんどありません。たばこを吸わないとストレスがたまるなどという人がいますが、たばこの害に比べたら微々たるものです。「軽いたばこ」といわれるものでも害はあります。ぜひ、禁煙を。禁煙に際してはそれを補助するニコチンガムやニコチンパッチも医療機関で扱っています。

○休養
 生活習慣病予防には十分な休養が不可欠です。忙しくてなかなかまとまって休めないという人も、時間は短くても精神的に満足できるような休養の仕方を考えましょう。また、休養というと体を動かさずにのんびりすることを考えがちですが、ふだん神経を使って疲れている人は積極的に体を動かすことが休養になることもあります。楽しい趣味を持つことも大切です(ただしグルメが趣味では困りますが)。

○薬・健康食品・民間療法に頼らない
 やせるための薬・健康食品・民間療法は実に多種多様です。減量には食事療法がつきものですが、食事を控えることが難しくなるとこれらに走る方がたくさんいます。現在病的肥満の方に対する薬は食欲抑制剤が認められていますが、それ以外は有効なものはほとんどありません。多額なお金をかけて体をこわしては大変です。減量は食事、運動中心で努力する以外ありません。

生活習慣病になってしまったら

 自己判断で治療をしなかったり、治療を中断するのは大変危険です。きちんと医療機関にかかって経過観察や治療のアドバイスを受けましょう。その上で薬などは必要ないとなれば、上記の食事・運動などの注意と同じです。ただし、定期的に通院する必要があります。生活習慣病はほとんど症状がないので、症状が出てから治療をするのでは遅いのです。軽く考えずにきちんと通院しましょう。

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Doctors marche アンダカシー
Doctors marche

医療法人社団 三喜会 理事長、鶴巻温泉病院院長。…

鈴木龍太

フリージャーナリスト。1949年、東京都生れ。法…

郡司和夫

小笠原記念札幌病院腎臓内科。日本中毒学会認定クリ…

横山隆