痛風とは「風があたっても痛い」という意味で、足の指や足首などの関節に炎症を起こし、強い痛みを伴う病気です。血液中の尿酸値が高いと、気づかない間に、関節に尿酸の結晶がたまり、それが原因となって、ある時、突然、強い炎症を起こすのです。血液中の尿酸値が上がる原因は、食生活などの生活習慣とその人の体質にあります。
食べ物に含まれているプリン体という物質を多く摂取すると、血液中の尿酸値が上がります。プリン体は、いろいろな食品に含まれています。特にプリン体の多い食品としては、煮干、かつおぶし、レバー、肉類などがあります。また、アルコール類、特にビールには、多くのプリン体が含まれています。 高尿酸血症になりやすい人には、尿酸の産生が過剰なタイプと尿酸の排泄が低下したタイプ、およびその両方をあわせもつタイプの3種類あります。
尿酸値の正常値は、7mg/dl以下です。尿酸値が7mg/dlを越えると、身体のあちこちに尿酸がたまりやすくなります。高尿酸血症が続くと、痛風発作以外にも、腎臓や尿管に石ができ、更に腎臓の働きが悪くなって、命に係わる場合もあります。
痛風は、中年男性に多く、女性では稀です。近年、高尿酸血症や痛風の人が増加しており、特に20~30歳代の若年から発症する人が増えています。また、痛風の人は、高血圧、高脂血症、糖尿病などの病気を持っている場合が多く、これらの疾患の有無も確認する必要があります。
血液中の尿酸値が高くても、普段は特に症状を認めません。気がつかないうちに、尿酸の結晶が関節にたまっていきます。そして、脱水、運動、ストレス、プリン体の多量摂取などをきっかけにして、急に関節の強い痛みが起こり、関節が腫れてその部分の皮膚が赤くなります。痛風発作の起きやすい場所としては、足の親指の関節や足首の関節があります。それ以外の関節でも、炎症が起こることがあります。通常、痛みは一週間前後で徐々に改善していきます。しかし、高尿酸血症が持続すると、数日から数年の間隔をおいて、再び痛風発作が起こります。腎臓や尿管に尿酸が原因の石ができ、その石が移動する時などには、強い腹痛や背部痛を認めます。血尿を伴うこともあります。
まず、血液検査で尿酸値が7mg/dl以上あるかどうか確認します。ただし、炎症が強い時には、尿酸値がやや下がる傾向がありますので、炎症がある程度治まってから検査をしないと、わからない場合があります。また、炎症の程度や、腎臓の障害の有無などをみるためにも、血液検査を行います。高尿酸血症の原因が産生過剰か排泄低下かの判定には、尿中の尿酸排泄量を測定します。何度も、痛風発作を繰り返すと、関節自体が傷んできます。その変化を見るためには、炎症を起こした関節のレントゲン写真を撮る必要があります。腎臓や尿管に石があるかどうかは、腹部の超音波検査や、造影剤を使用した腹部のレントゲン写真などで判断します。
痛風発作を起こしている時には、まず炎症や痛みを抑える薬を使います。痛風発作の最中に尿酸を下げる治療をすると、痛風発作が悪化する場合があります。そして、ある程度炎症が治まってきたら、尿酸値を下げる薬を服用します。尿酸値を下げる薬には、尿酸の合成を抑える薬と、尿酸の排泄を促す薬の2種類あります。どちらを使用するかは、主治医と相談して決めてください。
治療の目標は、血液中の尿酸の値を6mg/dl以下にすることです。尿酸を下げる薬は、非常に効果があります。しかし、薬を中断すると、再び尿酸値が上昇するので、継続して服用する必要があります。また、特に尿酸の排泄を促す薬を使用した場合には、腎臓などの石や腎機能障害を予防するために、尿をアルカリ性にする薬も併用する場合があります。
次に示すような、生活習慣の改善が重要です。いずれも、短期間でなく、長く続けることが必要です。
①食事
《カロリー制限》
いろいろな食品に、プリン体は含まれています。したがって、食事全体の量を減らすことが必要になります。下の式にあなたの身長を入れて、計算してみてください。求められた値が、あなたの標準体重です。
標準体重(kg)=身長(メートル)×身長(メートル)×22
もし、あなたの現在の体重が標準体重を超えるようであれば、標準体重を目指して減量してください。そのためには、運動量が日常生活程度の人で、1日の摂取カロリーを標準体重×25ぐらいに制限する事が必要です。
1日の摂取カロリー(kcal)=標準体重(kg)×25
肉体労働などかなりの運動をする人では、1日の摂取カロリーは標準体重×30が目安です。
《プリン体の多い食品を避ける》
煮干、かつおぶし、レバー、肉類などにはプリン体が多く含まれています。肉を使ったスープなどでは、肉そのものよりも、スープのほうにプリン体が多く含まれます。これらの食品をたくさん摂らないことが必要です。
②アルコール制限
ビールや発泡酒には、非常に多くのプリン体が含まれています。日本酒やワインでは、プリン体の量は、ビールの十分の一ぐらいになり、更に、ウイスキーや焼酎などの蒸留酒では、日本酒の十分の一ぐらいになります。ビールを多く飲む人では、ビールを他のアルコール類に変えるだけで、血液中の尿酸値が1mg/dl程下がる場合もあります。
③水分の補給
尿酸は腎臓から尿の中に排泄されます。したがって、水分を十分にとって尿の量を多くすると、尿酸もたくさん尿中に出て行きます。
④運動
肥満の解消のためにも、全身を動かして、大量の酸素を取り込む有酸素運動を、無理なく続けることが効果的です。具体的には、ウォーキング(早足での散歩)、サイクリング、水泳などです。この時、水分を十分とることが必要です。また、炎症を起こしている時には、運動は良くありません。短時間の激しい運動や脱水は、尿酸値を上げる原因となり、痛風発作を誘発する恐れがあります。
これらの生活習慣の改善は痛風や高尿酸血症の予防にとても有効であり、他の生活習慣病の予防にも効果があります。しかし、生活習慣の改善だけでは十分に尿酸値が下がらないこともあります。人によっては薬物療法が必要になることもありますので、定期的に検査を受け、医師の指導のもとで行うことが必要です。
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