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【病気の知識】

急性白血病(急性骨髄性白血病・急性リンパ性白血病)

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どんな病気

 急性白血病は、血液中の白血球の数が無制限に増殖し、芽球と呼ばれる非常に幼弱な白血病細胞で殆どが占められてしまう状態をいいます。

 白血病細胞は骨髄で作られるため、骨髄の検査を行うと白血病細胞が非常に多くなり、正常の細胞は殆ど認められません。骨髄が白血病細胞に占拠されると、正常な血液をつくる働きが低下して、貧血となり血小板数が減少します。

 また、正常な白血球も減少するので感染症にかかりやすくなります。感染症が起こると、発熱し、血小板が減少すれば出血も起こってきます。急性白血病は放置すれば感染症や出血により死に至る致命的な疾患で、血液のガンともいわれています。

 急性白血病は「急性骨髄性白血病」と「急性リンパ性白血病」の2タイプに分けられます。急性骨髄性白血病はさらにその細胞の性格や成熟度等により、M0〜M7までの8種類に分けられます。

 それぞれに特異的な性質がありますが、とくにM3と呼ばれる「急性前骨髄球性白血病」は、その治療法や治療成績が他の白血病と大きく異なるため別格として扱われています。

 「急性リンパ性白血病」はその細胞の形態から、L1〜L3までの3種類に分けられます。また、骨髄細胞の染色体検査により、「Ph1染色体(フィラデルフィア染色体)」が認められると「Ph1陽性急性リンパ性白血病」と呼ばれ、その治療が難しいことなどから特別な白血病として扱われることがあります

どんな症状

 急性白血病の主な症状は、貧血、出血そして感染に伴う発熱です。特別な症状のないまま検査によって発見されることもあります。風邪気味で検査をしたらとか、微熱が続くので、といった検査で見つかることもしばしば認められます。急性リンパ性白血病の場合にはリンパ節が大きくなったために発見される場合もあります。

どんな診断・検査

 白血病では、血液中に白血病細胞が多数認められるのが普通です。白血球数が少なく、白血病細胞も少ししか認められない場合もあります。病気を特定する上で、血算(血液中の細胞成分の検査)と骨髄穿刺検査が極めて重要な検査になります。

 さらに、脳脊髄液中に白血病が浸潤(病気が広がり他の組織を冒すこと)する場合があり、腰椎穿刺という検査が必要となることもあります。

 腰椎穿刺は腰の部分より針を刺して脳や脊髄の周りを流れている脳脊髄液を採取する検査です。背中を麻酔した後、針を脳脊髄液が流れている腔にまで刺し、その一部を採取します。採取量は多くの場合5〜10ml以下で、髄膜炎などの診断にも用いられます。薬を注入することもあります。

 その他、病気の勢いや各種臓器への影響を検討するために、肝機能や腎機能あるいは心臓の検査等が必要となります。

どんな治療法

 急性白血病の治療は抗ガン剤による化学療法が原則です。急性骨髄性白血病の場合には、抗ガン剤の併用療法が主な治療法です。治療によって、骨髄検査による顕微鏡レベルで白血病細胞が全体の5%以下に減少し、正常の白血球、赤血球、血小板の数が一定期間回復すれば寛解となります。

 とはいえ、白血病細胞が少数残存している可能性は十分にあるので、白血病細胞が全てなくなった状態の治癒とは異なります。

 寛解状態とするための治療を寛解導入療法、寛解に入った後の治療を地固め療法と呼んでいます。地固め療法でも強力な抗ガン剤による治療が行われ、白血病の細胞をできるだけ少なくするための努力が続けられます。

 抗ガン剤による強力な治療により、骨髄で作られる正常な白血球、赤血球、血小板の数も極めて少なくなってしまいます。そのために出血や感染症にかかる危険性が高くなるので、たびたび輸血をしたり、抗生物質を投与するなどの治療が必要となります。

 急性リンパ性白血病の場合にも抗ガン剤を用いた治療が必要です。それらの薬剤には骨髄の機能を低下させるという副作用があり、またステロイド剤は免疫抑制機能が強いことから、さらに感染症にかかり易くなるので注意が必要です。

 急性リンパ性白血病の治療においても、寛解導入療法と地固め療法、さらに維持療法(寛解を維持するための療法)が行われるのが通常で、その治療期間は数年に及びます。

 どちらの白血病においても骨髄移植が行われることがあります。その時期、方法は白血病のタイプや病状によって異なります。

どんな予防法

  急性白血病はウイルス感染、放射線、発ガン性薬物などの影響で引き起こされるのではないかと考えられていますが、確かな原因は不明で、その予防法はわかっていません。

 ただ、骨髄に毒性を持つ化学物質や、ある種の抗ガン剤の使用は出来るならば避けるべきでしょう。また、それらを使用した場合には、それ以降の観察が必要になると思われます。

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