【病気の知識】

脂肪肝

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どんな病気

 肝臓は食物中のアミノ酸、脂肪酸、糖類などの栄養素を肝細胞の中に取り込んで、身体に必要な成分(タンパク質、脂質、糖質)に造り替えます。余分な栄養はグリコーゲンとして肝細胞の中に貯蔵して、必要な時にはそれを適宜エネルギーに変える作業も行います。さらに、そのような代謝の過程で生じた廃棄物および体に入り込んだ有害物質の処理を効率的に行う機能も備えています。正常の肝臓は通常湿重量の2〜4%の脂肪を含んでいます。主としてリン脂質、コレステロール、中性脂肪、脂肪酸が占めていますが、脂肪肝は代謝の異常により肝細胞に中性脂肪の蓄積が著しいものをいいます。

 その原因としては過栄養(肥満)、アルコール過剰飲料、糖尿病などが多く、これらは脂肪酸の供給過剰や合成亢進によるものです。まれなものとして内分泌異常、薬剤の副作用、小腸短絡手術後、妊娠性脂肪肝などがあります。過栄養とは逆に栄養失調でも脂肪肝になることがあります。蛋白質などの必須栄養素が不足すると肝細胞でできた中性脂肪を細胞外に排泄できなくなるため出現してくる脂肪肝です。アフリカのある地域では、デンプン質ばかりの食事で蛋白質を摂取しない食生活の風習のため、脂肪肝になっている人が多いという話もあります。

 過栄養による脂肪肝は20代から30代前に肥満者が急激に増加し、それに伴いおこります。この年頃は学生時代などに行っていたスポーツをする機会が仕事のため激減したり、結婚による食生活の変化がみられる頃でもあり、そのような生活スタイルの変化が原因となっているように思われます。
 
 ところで、脂肪肝はほっておくと命にかかわる病気なのでしょうか? 実は、お酒の飲み過ぎによる脂肪肝ではその可能性があるのです。アルコールは肝臓での脂肪の合成を活発にするため、飲酒が続くといわゆる「アルコール性脂肪肝」になります。そしてアルコール自体の繊維増生作用により、「アルコール性肝硬変」に進展することもあり、さらに飲み続ければ肝不全になってしまいます。一方、栄養の摂りすぎによる脂肪肝(過栄養性脂肪肝)は肝硬変に進展することはありませんし、脂肪肝が続いたとしても命を落とすことはないのです。

 それではなぜ、この(過栄養性)脂肪肝に神経を使わなければいけないのでしょうか。それは、肝臓の病気としてではなく、むしろ高脂血症や糖尿病そして動脈硬化との関係があるからです。年々、癌による死亡者が増加していますが依然として脳や心臓の血管の病気でなくなる人はたいへんな数にのぼり、その背景として高脂血症や糖尿病は大きなウエイトを占めております。つまり、「脂肪肝」もこれらの病態と深い関連を持つため、成人病、すなわち生活習慣病の予防という観点からも治療する必要性があるのです。

どんな症状

 発生要因にもよりますが一般に自覚症状に乏しく、存在しても腹部膨満感、全身倦怠感など不定のものが多いようです。健康診断で初めてわかるような無症状の例も認めます。妊娠性脂肪肝のように妊娠末期に、腹痛や黄疸、消化管出血など肝不全の症状を呈するような予後の不良な脂肪肝もあります。

どんな診断・検査

○超音波検査
 超音波検査では肝臓は高輝度エコーを呈し肝と腎臓の濃度差(肝腎コントラスト)の目立つbrightliverの像を示します。かた、肝臓内部の血管は不明瞭となり、深部のエコーの減衰も著明となります。

○腹部CT検査
 腹部CT検査では肝臓はエコー所見とは異なりCT値は低く色調は暗くなり脾臓との濃度差は逆転します。

○検査所見
 GOT<GPTのパターンで多くは100単位以下の上昇をみます。時には200〜300単位の上昇を認めることもあります。コリンエステラーゼ、コレステロール、中性脂肪の上昇がみられます。アルコール性の脂肪肝ではGOT優位でγGPTの上昇が著しいのが特徴です。

○病理所見
 確定診断には肝臓の生検による病理診断が必要となります。一般には超音波検査にて診断できた場合、病理検査まで行うことはまれです。肝小葉の3分の1以上に脂肪の沈着を認めます。

どんな治療法

 原因の除去、原疾患のそれぞれの治療が第一です。最近では、食生活が豊かになり日常生活も変化してきたため、肥満が増加し脂肪肝も増えております。
 
 肥満に伴う脂肪肝は摂取カロリーを基礎代謝率と患者の運動量から算出した消費カロリー以下にさせることで体重は減少し改善します。食事と適度な運動が基本的な治療法なのです。絶食療法や極端なダイエットは体重の減少は早いですが、重要な他の臓器障害をひきおこすこともあり、推奨できません。また、特別の薬はありません。本人の自覚がないと治らないという点ではむしろ難病といえるかもしれません。さらに、最も努力が必要なのは、体重を減らすことより、油断せずに、いったん減った体重をいかに維持することができるかにあります。生活スタイルを変えてそれが当たり前となるためには、強い意志も必要です。実際は治療の途中で挫折することも多く、むしろ治りにくい病気でもあるわけです。

 適当な食事と運動、そして規則正しい生活を送ることにより、肥満にならないことが必要です。アルコールの多飲も慎まなければなりません。今後は生活習慣病の予防という視点にたって啓蒙していくことが大切です。

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近畿大学理工学部生命科学科ゲノム情報神経学准教授…

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小笠原記念札幌病院腎臓内科。日本中毒学会認定クリ…

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