アレルゲンや感染、その他の気道への刺激により、発作的に喘鳴(ヒューヒュー、ゼイゼイ)を伴う激しい咳、呼吸困難を示す呼吸器の病気です。重症化した場合は窒息するなど生命に危険を伴う場合もあります。
発症の原因は異なっても、気道粘膜に炎症が生じ、結果として気道の狭窄、喀痰の分泌が高まり、症状が現れるようになります。症状の程度は様々で、一見軽い咳が長引いているように見えるものから、窒息で命を落とすほどの激しい発作を起こすものまであります。小児の場合は、家族にアレルギーをもっている人がいるケースが多く見受けられます。
発作時は、典型的なものでは咳込み、ヒューヒュー、ゼェゼエと音がする喘鳴、呼吸苦を認められます。しかし程度により、一見喘息とは思えないようなものから苦悶表情を見せるものまで多様です。重症化するにつれ、陥没呼吸、チアノーゼ、意識障害などが認められるようになります。
呼吸苦と喘鳴を伴う激しい咳が繰り返されることが臨床的には診断根拠となります。さらに診断を確実にする検査としては以下のようなものがあります。
①アレルギー体質であるかどうか:血液中の抗体を測定したり、皮膚の反応を調べたりします。
②呼吸機能を調べる:喘息は気道が狭窄しているので、空気の肺への出入りのしやすさを調べます。
③気道の刺激に対する敏感さを調べる:喘息の人はある種の薬に対してよく反応します。
④気道の炎症を調べる:タンの中にある好酸球など炎症にかかわる細胞の状態を調べます。
⑤動脈血液ガスを調べる:呼吸状態が悪くなってくるとまず酸素が低下してきます。重症化すると二酸化炭素が上昇してきます。
⑥胸部エックス線写真を撮る:発作時は肺に空気がたまって膨らんだ状態となっています。
治療は発作を起こしている時の治療と、起こしていない時の治療に分けられます。
●発作時
発作時の治療は、現在ではガイドラインが決められており、その症状の程度によりどのような治療から始めるべきかが決められています。これは症状の各段階で必要かつ十分な治療を行うことで症状の重症化や遷延化を防ぐためです。具体的には気管支拡張薬の吸入、または内服、皮下・静脈内注射や鎮咳薬、去痰薬の投与などで、とくに発作が激しい場合には酸素吸入や、副腎皮質ステロイド薬を使用することもあります。ただ、副腎皮質ステロイド薬は副作用の問題もあるので、医師の指示に従い、適切に使用してください。必要と判断された場合はきちっと使用しましょう。
●非発作時
非発作時の治療は、気道の炎症を抑えその過敏性を減らすことが中心となります。これを目的とした治療には、薬物療法と減感作療法があります。
●薬物療法
薬物療法はその重症度によって治療方法が異なりますので詳しいことは主治医と相談の上行ってください。簡単に言うと抗アレルギー剤(インタールの吸入や経口抗アレルギー剤)、テオフィリン製剤、ステロイド剤(吸入あるいは経口剤)をうまく組み合わせて治療をしていきます。
●減感作療法
減感作療法も根治療法として有用な治療法です。アレルゲンを特定した後、その希釈液を定期的に皮下に注射することによりアレルギーを抑制する遮断抗体を誘導し、アレルギー反応を起こさせなくする治療法です。
●治療上の注意
ときおり、医者からもらった薬を症状が十分改善しないにもかかわらず少しずつ使っている人がいますが、これは治療としては良くありません。症状が十分改善するまで治療は徹底的に続ける必要があります。
喘息にとって予防は治療に勝るとも劣らぬ重要な位置を占めています。いかに濃厚な治療をしても普段の生活がアレルゲンと頻繁かつ多量に接触するものであれば当然良い状態を保つことはできません。
対策としては、事前の検査により何がアレルゲンなのかをまず明確にしておく必要があります。そしてそれを十分に排除する努力をしなくてはいけません。ダニを例にとると、温床となるじゅうたんなどの撤去、湿度の管理、布団の乾燥と掃除機掛けなどが必要です。ペット、喫煙、エアコンなども十分な対策が必要です。これ以外にも各家庭に応じた対策が多岐にわたって必要です。主治医との綿密な情報交換の上実行してください。
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