【病気の知識】

停留精巣・包茎

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監修:光畑直喜/呉共済病院泌尿器科部長

どんな病気

 小児の泌尿器科疾患は、主に性器の先天異常、位置異常を原因に引き起こされます。ここでは小児期に手術されることの多い停留精巣と包茎について説明しましょう。

●停留精巣
 精巣は、胎生期には腹腔内で形成され、成長とともに下降し、出産時には、陰嚢内におさまるのが普通ですが、この過程がうまく行かず精巣が下降経路内に留まったままの状態を停留精巣と呼びます。

●包茎
 陰茎包皮が亀頭をおおっている状態を包茎と呼びます。両手で包皮を反転できるものを仮性包茎、できないものを真性包茎と呼びます。

どんな症状

●停留精巣
 陰嚢内に精巣を触知しなく、鼠径部やその他の部位に精巣を触知して、陰嚢の発育が悪く、小さいなどの症状です。

●包茎
 多くは亀頭包皮炎(亀頭および包皮が腫れ上がり痛む)を起こしやすくなります。また、排尿困難や嵌頓包茎(包皮を反転させた際戻らなくなってしまい、包皮が腫脹した状態)を起こすこともあります。

どんな診断・検査

 小児の疾患のため、両親が普段の生活の中で異常を発見することが多いのですが、乳児検診などで、小児科医により指摘されるケースも多く見られます。

どんな治療法

 停留精巣も包茎も手術が主な治療法です。比較的容易な安全な手術ですが、小児の手術のため全身麻酔、入院が必要です。

●停留精巣
 3歳ぐらいまでに手術を行うべきと考えられます。放置した場合は、小児期には鼠径ヘルニアや精索捻転(精巣が突然回転して、治療が遅れると循環障害のため精巣が壊死してしまう病気)を起こしやすく、思春期以降まで放置した場合は、精巣癌(正常の10倍のリスク)や不妊症になりやすいため、停留した精巣を摘出することになります。

●包茎
 小児では、真性包茎でかつ前述の症状を起こすものに限って手術を行います。停留精巣のように手術を行わなかった際のリスクは少なく、手術決定は慎重にすべきと考えます。小学校高学年になれば、局所麻酔で入院なしの手術が可能です。

どんな予防法

 小児の疾患でかつ先天性異常、位置異常が原因のため予防法はありませんが、両親は日頃から男の子の外性器をよく観察し、また小児科医に異常を指摘されたら、泌尿器科専門医の診察を受けることが重要です。停留精巣の場合は早期に手術を、包茎の場合の手術は慎重に考えるべきです。

 停留精巣、包茎の手術は、小児泌尿器科手術の中ではポピュラーなので、小児専門病院でなくても基幹病院の泌尿器科で手術を受けられます。

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