一般的に口内炎"呼ばれている疾患は「アフタ性潰瘍」といいます。アフタとは、直径2~11mm程度の円形の境界明瞭な腫瘍で、その周囲に赤みを伴います。感染ウィルスにより、さまざまな症状をきたします。
アフタには次のようなものがあげられます。
①孤立性アフタ
②ウィルス性のアフタ
③白血球減少に伴うアフタ
④慢性再発性アフタ
⑤ベーチェット病の口腔内の症状としてのアフタ
①孤立性アフタ
アフタが1個~数個だけできて、すぐに治ってしまうというものです。これに対し、ウィルス性などでアフタが多数できる場合は、アフタ性口内炎として区別されます。
②ウィルス性のアフタ
ウィルス性の初期に小水疱が形成され、すぐに破れます。その結果、皮膚ではびらんに、口腔ではアフタ性潰瘍になるものがあります。ウィルス性のアフタには、以下のようなものがあります。
【1】単純疱疹:(A)口唇疱疹、(B)疱疹性(ヘルペス性)歯肉口内炎
【2】帯状疱疹
【3】ヘルプアンギーナ
【4】手足口病
【1】単純疱疹
(A)口唇疱疹
口唇疱疹単純疱疹ウィルス(HSV)の感染による単純疱疹が口唇に生ずるものをいいます。口腔領域では最も多く見られるウィルス性疾患で、人口の3分の1程度が罹患するといわれます。20~30代に発生しやすく、再発性です。口唇粘膜皮膚移行部ないし近接する皮膚に、周囲に紅斑を伴う直径1~3mmの水疱として見られます。水疱は破れず、びらんとなり、かさぶた様の皮膚で覆われ、10日前後で治癒します。
(B)疱疹性(ヘルペス性)歯肉口内炎
単純ヘルペスウィルスの感染による口内炎で、6歳以下の小児に好発します。感染初期は歯肉が侵されます。1週間の潜伏期間の後、39~40℃の発熱、食欲不振、全身倦怠感などの症状で始まり、リンパ節も腫れます。これに前後して歯肉炎と多数の小アフタを生じます。アフタは痛みを伴い小児は食事を嫌がることがあります。10日前後で治癒します。
【2】帯状疱疹
帯状疱疹は水痘を起こすウィルスと同一のVaricella-Zoster Virusの感染により起こります。老人に多く、水痘にかかったことがある人にあらわれます。症状としては、発熱、また、片側の一定の神経支配領域に水痘を生じます。顔面では三叉神経領域に多く発生します。三叉神経の第2枝と第3枝が侵されると口の中にも水疱が出現し、破れてアフタとなります。なお、顔面神経麻痺、顔面及び耳の水痘、耳鳴り、めまい、味覚障害などを生じるものもあります。
【3】ヘルプアンギーナ
ヘルプアンギーナはCoxackie Virus A4の感染(まれにA2、A5、A6、A8、A12)によって生じるアフタ性の咽頭炎です。1~4歳児に多く見られ、水疱が口の後部と咽頭に生じ、嚥下痛と咽頭痛を生じます。治療には水分補給が大切で、1週間前後で自然治癒します。
【4】手足口病
Coxacki Virus A16の感染によって生じます。1~3歳に多く見られます。潜伏期間は3~5日です。両手、両足、口に発疹が見られ、口の中では頬粘膜、口唇、舌下部硬口蓋に水痘が生じ、すぐに破れて2~3mmのアフタが生じます。5日前後で自然治癒します。
④慢性再発性アフタ
慢性再発性アフタは、粘膜疾患のうちで最も頻度が高く、全人口の20%近くは罹患すると考えられています。
⑤ベーチェット病の口腔内の症状としてのアフタ
粘膜、眼、皮膚、及びその他の臓器に症状を現す全身炎症性疾患です。
ウィルス性のアフタ
感染ウィルスにより、さまざまな症状をきたします。
慢性再発性アフタ
口の中に1~数個、直径3~5mmのアフタがくりかえしできてきます。頬粘膜、口唇、舌、歯肉の順にできやすく、20~30代の女性に多く見られます。触ると激しく痛み、10日前後で治ります。瘢痕を残すことはありません。また、時には大アフタ(直径10mm以上の深い潰瘍)になることがあります。
ベーチェット病
口腔粘膜の再発性アフタ、結節性紅斑などの皮膚症状、虹彩毛様体炎、網膜ブドウ膜炎などの眼症状、外陰部潰瘍、以上4つの主症状があります。20~30代、特に性差はなく、男性の方が重症化しやすい傾向にあります。
アフタの種類、原因をつきとめ、治療を行うために鑑別診断を行います。皮膚を針で軽く刺します(針反応)。ベーチェット病の場合、針を刺した箇所の赤みが増していき、48時間後には膿瘍を形成します。
疱疹性ヘルペスの場合は安静が第一です。必要ならば経管栄養、輸液を行います。二次感染の予防として抗生物質、刺激のないうがい薬が処方されます。
帯状疱疹によるものでは、対症療法が行われます。顔面神経麻痺には副腎皮質ホルモン及びビタミン剤投与、星状神経節ブロックなどが行われます。
慢性再発性アフタには薬物治療を行います。テトラサイクリン系抗生物質や非ステロイド系消炎剤、副腎皮質ホルモン剤の軟膏及び付着錠(塗布)が処方されます。
ベーチェット病も主に薬物治療です。非ステロイド系消炎剤、コルヒチュレ、免疫抑制剤、免疫賦活剤などが投与されます。
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