憂うつな気分と億劫な気持ち、不眠や食欲不振、倦怠感などの症状がみられます。脳がうまく働いてくれないので、もの見方が悲観的になり自信がもてなくなって、普段だったら乗り越えられるようなこともうまくいかなくなり、「やっぱりダメ」とさらに落ち込む、という悪循環がおこります。適切な休養と治療により回復が期待できます。
厚生労働省の調べによると、日本人の7.5%が過去にうつ病にかかったことがあると答えています。医療機関にかかっているうつ病患者さんは2008年には100万人を超えました。4人に3人のうつ病患者さんはきちんと医師を受診していないそうですから、実際にはさらに多くの患者さんがいるということになります。2:1で女性に多いと言われています。再発率は50〜60%と高く、繰り返しやすい病気です。
うつ病の原因は、まだ十分明らかではありません。脳内の神経伝達物質がうまく働かなくなることと関係があるといわれています。もともと生まれ持った素質、ストレス、身体的なコンディションなども病気に関与していることがわかっています。女性では月経前や産後そして更年期に「うつ状態」を呈しやすいことが知られており、ホルモンと「うつ」との関係も注目されています。
躁状態がある場合は「双極性障害」といいます。パーソナリティー障害や発達障害に併発することがあります。また、不安障害や摂食障害を合併しやすいことも知られています。
憂うつで億劫、以前のように楽しめない、疲れやすい、というような症状あり、さらに以下の7項目のうち2項目以上が2週間以上続くとうつ病の可能性があります。
①集中力や注意力が落ちた
②自己評価が低い・自信がない
③私はダメな人間で申し訳ない
④お先真っ暗
⑤いっそ死んでしまった方が......
⑥ちゃんと寝られない
⑦ちゃんと食べられない
ご本人は無自覚でも、周囲のかたが、イライラ、焦り、涙もろい、反応が鈍い、取り越し苦労、不機嫌などの症状に気づくことがあります。身体の不調(食欲がない、だるい、疲れる、性欲がない、頭痛、肩こり、動悸、めまい感、胸部の不快感など)を伴うことが多いので、まずは内科などに受診する方が多いのも特徴です。
うつ病を見つけ出す特別な検査は、今のところありません。診断は問診で行います。ただし甲状腺機能低下症などの他の病気や治療中の病気の薬の副作用でも、うつ病と似たような症状がみられることがあるので、内科的な検査が必要になります。また、認知症の初期の症状と区別がつきにくいときは、頭部の画像診断(CTやMRなど)が有用です。
休養、身体的治療、精神療法の3つの方法が主流です。これらを必要に応じて組み合わせて導入していきます。
身体的治療には、薬物療法と電気治療(無けいれん電撃療法)とがあります。薬物療法を行う際には、用法・用量を守ることや併用薬に注意することなどにより副作用を小さくすることができます。電気治療は難治性うつ病や副作用のために薬物療法の困難なかたには重要な選択肢にあげられます。精神療法には認知行動療法や対人関係療法などがあります。
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