乳幼児に多い、麻疹ウィルスによる急性ウィルス感染症ですが、成人にも発病することがあります。
「発熱・鼻水・せき」という、かぜのような症状で始まり、目が充血し、目やにも見られます。3~4日すると、今度は口の中に細かい白い斑点が出てきます。これは「コプリック斑」と呼ばれるものではしかの決め手となります。成人にも発病することがあります。
症状の経過は、カタル期、発疹期、回復期の3期に分けられます。感染経路は飛沫感染ですので、そばにいるだけでも移ります。
①カタル期(4日ほど):感染後、10日前後の潜伏期をおいて、38℃くらいの発熱、咳、鼻水、目の結膜の充血、目やに、時々目のまぶしさが見られます。その後2日ほどして、周囲に発赤を伴う灰白色の小斑点(コプリック斑)が口の中の頬粘膜にあらわれますが、1日で消えてしまうこともあるので見逃してしまう場合も多いです。
②発疹期(5日ほど):一時体温が低下した後、再び高熱となるとともに、赤い小さな斑状発疹が耳の後ろ側、顔から出始めて次第に下へ広がります。はじめはポツポツとした赤い発疹も広がると互いにくっついて地図のようになりますが、その間には地図の中の島や半島のように正常の皮膚が残っています。
③回復期:発疹が全身に広がると体温は下がって、回復期に入ります。発疹は、赤みが消えて少し褐色に変化し、その後退色していきます。この頃になると元気になってきます。
時に重症化して合併症を起こすことがあります。特に大人がかかるとなりやすいので注意が必要です。麻疹肺炎は、咳と呼吸困難の症状や頭痛、強い眠気、けいれんの症状があったときに注意が必要です。成人では、消化管出血を伴う出血性麻疹、妊婦の早産、流産の原因となることもあります。
38.5℃以上の高熱、咳、鼻水、目の充血、目やにと口の中のコプリック斑、耳の後ろあたりからはじまる赤い発疹などの症状で診断をつけられますが、採血でウィルスの抗体を調べたり、リンパ球や白血球の変化で風邪との区別をつけなければならないこともあります。
麻疹にかかっていない幼児か、麻疹患者に接触した場合は、γ(ガンマー)-グロブリン注射麻疹ワクチン接種による麻疹の発症予防や軽症化が可能です。γ-グロブリン投与は、麻疹患者と接触3日以内に注射すれば発病を逃れ、注射の時期が遅れても症状を軽減できます。
麻疹ワクチン緊急接種は、麻疹患者と接触後すぐに麻疹ワクチンを注射する方法ですが、時期が遅れると効果はありません。麻疹が発病してしまったら、適度な室温と湿度の保てる部屋で明るすぎないよう照明を落として、安静にしましょう。
発熱に対しては、必要に応じて解熱剤の投与や、首、腋などの冷却をしますが、冷やし過ぎないようにしましょう。38℃程度なら解熱剤は使用しなくてよいです。食欲不振には、水分の多いものをあげて、脱水には注意し、そのために元気がなくなっているようなら医師に診せてください。
通常1歳から麻疹ワクチンの接種ができます。これは12カ月より90カ月の間でできるところが多いです。しかし8年以上経つと、ワクチンの効果が下がって感染することもあります。麻疹が流行した場合は、生後10カ月から接種してもよいですが、生後1歳未満で接種を受けた子には抗体が消えやすいので、1年後に再度接種する必要があります。
疹患者と接触しないことが一番の予防ですが、症状の始まる2日前よりウィルスの排出は始まっており、この時点で区別することは困難です。児童の場合、学校へは出席停止となります。下熱してから3日してから登校可能となりますが、証明があれば欠席扱いにはなりません。
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