遺伝子組み換えとは、生物の細胞から必要な性質を持つ遺伝子を取り出して、別な植物などの細胞の遺伝子に組み込み、新しい性質を持たせることをいう。
EUは遺伝子組み換え農作物に対し、①未知の部分が多い、②食料の独占化が起こる、③生態系の崩壊(似た植物が組み換え技術による殺虫性を持つ可能性がある)などの点から慎重である。
スーパーなどで手に取る豆腐や納豆、コーン缶などのほとんどに「遺伝子組み換え食品ではない」という表示がしてあるが、実は遺伝子組み換え食品は、予想以上に普段の食生活に入り込んでいる。いま、生産されている遺伝子組み換え食品(作物)には、大豆や菜種、トウモロコシなどを中心に302品目ある(2015年6月現在)。たとえば、トウモロコシは、そのまま食べるよりも油やデンプン(コーンスターチ)やコーンスターチを原料とするシロップ、加工でんぷんなどとして使用される方がはるかに多い。そこで使用されているのは、多くが遺伝子組み換えトウモロコシである。同様に大豆も、大豆そのものや豆腐、納豆などの大豆加工食品として食べられるよりも、乳化剤などの原材料として使用される方が多く、そこにはやはり多くの遺伝子組み換え大豆が使用されている。
遺伝子組み換え技術は食品添加物にも応用されており、その種類は2種類ある。一つは遺伝子組み換え食品添加物として扱われて「安全性審査」と「健康影響評価」を受けているもの(19品目/2015年10月現在)と遺伝子組み換え技術に該当せず、「安全審査」のみで「健康評価」を受けないもの(66品目/2015年6月現在)である。
後者のものは、遺伝子組み換え技術を使用していても、自然界でも起こり得る組み換えであることや最終物質がアミノ酸の純品という非常に高度に精製されたものであるから、遺伝子組み換え食品添加物に該当せず、そのため「健康影響評価」を受けなくてよく、「遺伝子組み換え」の表示もいらないというものである。また、現在、審査継続中のものもある。今後、新しい遺伝子組み換え技術による農作物、添加物が出現し、さらに品目も増えていくものと考えられる。
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