桂歌丸さん「タバコ病」と呼ばれるCOPDで死去~さまざまな業界に広がる禁煙化

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タバコ病に苦しんだ桂歌丸さん逝く~ヤニ切れ? 自民議員が喫煙の害を説くがん患者に……の画像1

愛煙家時代は缶入りピースを1日1缶(50本)以上も吸っていたという桂歌丸さん(写真は落語芸術協会の公式HPより)

 7月6日、オウム真理教元代表の麻原彰晃(本名:松本智津夫)死刑囚ら7人の死刑が執行された。各死刑囚の分散移送後、複数メディアが政府関係筋の声として報じてきた「平成の事件は(次の時代に)持ち越さないほうが賢明」との異口同音的なXデー予告が、ついに具現化されたわけだ。

 一方、4日前の7月2日、その「昭和そのもの」の人柄と生きざまで庶民から愛された一人の落語家が81年の人生を全うした。

 長寿演芸番組『笑点』(日本テレビ)の終身名誉司会者として世代を超えて親しまれた、ご存じ桂歌丸さん(1936〜2018)である。左記の西暦を元号表記で直せば、「昭和11年8月」に生まれて「平成30年7月」にこの世を去られたことになる。

半生期を超える愛煙家

 落語界での重鎮ぶりは言うに及ばず、半生期越えの愛煙家時代は、缶入りピース(タール28mg/ニコチン2.3mg)を1日1缶以上=50本強を吸っていた「ヘビースモーカー」としても知られた。

 肺の生活習慣病であり、通称「タバコ病」と呼ばれる「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」の代名詞的存在として引き合いに出される機会も多かった。
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 ところが、2009年の肺気腫を患ったのを契機に、件のCOPD急性憎悪に見舞われて緊急入院を余儀なくされた。それを機にいわば「禁煙流」への入門を果した次第だ。

 「タバコはもう、止めました。あんな苦しい思いをするんだったら、もう吸わないほうがいい」

 そんな宣言したものの、食事や入浴の際はもちろん外出時も、酸素吸入器が手放せなくなった。禁煙後は「たんが絡まず、高座でも息が続く。
 喋る商売としてはいいことづくめですな」と公言していたが、専門家らでつくる団体からの依頼で「COPD啓発大使」に就任した翌2010年2月にも――前掲の緊急入院からちょうど1年後――入院を余儀なくされもした。

 歌丸さんの喫煙歴は「53年」と報じられてきた。ということは「禁煙年(2009)―生年(1936)―喫煙歴(53)=20年」、いわば歌丸さんの場合、律義に20歳前後から吸い始めたクチだったのだろう。

 もし、20歳が吸い始めであれば、周囲の大人たちもスパスパの昭和30年代、歌丸さんは平成を迎えても18年間はモクモク燻らせていたが、肺の汚れのほぼ3分の2までは昭和期の愛煙歴によるものだろう。

 昭和に制作された映画作品中の大半で、紫煙やそれを燻らす仕草は「名脇役」として君臨してきた。TVドラマ内や対談・鼎談番組などでも主役の顔が煙に巻かれるほどの場面は決して珍しくなかった。

 そんな昭和期の名脇役(=喫煙場面)、平成から新元号を迎えつつある現在では、銀幕やモニターで見る影も失せた。それは現実界でも、今や日本人の喫煙率は、男性が28.2%、女性が9.0%(平成29年度:日本たばこ産業株式会社による調査より)。さながら「通行人=エキストラ」的存在である。

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