連載「気まぐれ形態学アナリシス」第3回

「解剖学」の基礎知識こそが実生活の中での「社会解剖学」へとつながっていく

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解剖学を暗記で覚えてきた弊害

 学生の間で解剖学は「単位さえ取れれば大丈夫」と思われている科目だ。そのような学生が、医学部を卒業する時に、解剖学の知識はどれくらい残っているのか? 授業中に書いたノートはどれくらいの量か?

 彼らの勉強のベースとなっているのは「優秀な先輩の残してくれたテスト対策の資料」だ。座学の授業が終わってからの病院での実習は、解剖の知識が乏しくても、一緒の施設等にいる学友の協力で何とか切り抜けられるだろう。

 しかし、国家試験を合格した後は、みんなチリジリバラバラだ。医者は最低限の知識は持っていると誰しもが見てくる。しかし実際は、「解剖学の知識がないから、先輩が話している内容がわからない」という事態になる。その結果、解剖学が、「もう一度学びたい教科」に躍り出るのだ。そして多くの医療従事者が「在学中にもっと真剣に取り組めば良かった」と口にするのだ。

 この状況の根底にあるのは、肉眼解剖学分野の教育者自身が「解剖学を暗記で覚えてきた結果」だと私は思っている。暗記でしかないから、教科書の行間を知らないので、図を掲示して教科書を読むだけの授業になる。解剖学の授業としては、教科書に沿っているだけの単調なものになっていると思っている

ヒトの体には教科書と異なる構造の「破格」がある

 残念ながら解剖学は、それほど単純な学問ではない。ヒトの体には必ず教科書と異なる構造の「破格(ハカク:バリエーション)」がある。

 そして解剖学は、暗記科目ではない。申し訳なくて、恥ずかしいことだが、私自身、覚えている解剖用語は、全体の1割もあるだろうか? なぜ覚えていないのか?

 私が授業を受けていて感じたことは「解剖学の授業は何かしらの法則を見つけ、法則に従っていけば解剖用語は後から着いてくる」ということだった。解剖学の授業で一番大ことなのは、受講者に考えさせるということ。これは暗記の全否定ではない。最低限覚えないといけないことはある。

 私が解剖学の講義で言うのは「骨だけは覚えてね」である。教科書を見ると「ヒトの体は大小200の骨からなり……」と書いてある。この時点で200もある。しかし骨は、左右で同名の骨があるので100ほどの名前を覚える必要がなくなる。それに、第1~12胸椎・肋骨など、「同名+番号」の付いた骨もある。この時点で20個ほど……。このような連続で、骨の覚える数が段々と減っていき、その骨の特徴を覚えていけば、骨の暗記はもの凄く数は減る。

 筋は400はあると言われている。骨と同様、整理していけば、覚えるのでなく、骨と骨を結んで名称を考えていくことで答えが導き出される。

 このように、学生の解剖学は考えた結果、自分で出した答えとの照合という形で学習していけば、もの凄く効率よく勉強できる科目なのだ。

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