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【連載「“国民病”腰痛の8割以上はなぜ治らないのか」第19回】

腰痛の原因は<硬くなった胸>! 「胸椎」を動かす簡単エクササイズで柔軟性をアップ

<カラダをひねる>は<胸椎を動かす>が理想

 「腰をひねる」という言葉を聞いたことがあるだろう。

 ところが本来、「腰椎」は<ひねる動作(回旋動作)>が苦手な構造となっている。解剖学的には、腰椎は回旋動作を約5度しか行えない。一方、「胸椎」は、約30度の回旋が可能な構造である。

 つまり、私たちが「カラダをひねる」という動作を行う場合、本来であれば、背骨の部分では<胸椎を動かす>ことが理想なのだ。

 しかし、胸椎が硬くなって本来の動きができなかったり、そもそもそのような意識がないために「腰」を必要以上に動かそうとしてしまう。そのため腰部に負担をかけるはめになる。

胸椎を柔らかくするエクササイズ

 私たちは、「首痛」や「腰痛」という言葉は頻繁に聞くし、実際にそのような症状を生じたことがある人も少なくない。だが、「胸痛」という言葉はあまり馴染みがないし、実際に胸部が痛くなる人は少数である。

 そのため<胸部に注目する>のは、なかなか難しい。本来は動くべき「胸椎」が機能しづらくなるからこそ、その代償として腰をひねったりして、腰痛を発生している人を数多いるのだ。

 腰痛を引き起こす根本的な原因を追求した施術と指導を行う、腰痛専門サロン「こしらぼ」(北海道帯広市)を運営する谷口英一代表に話を聞いた。

 「腰通に悩む人は、かなり高い確率で<胸椎が硬い、使えない>。腰には一切触らないで、<胸椎の動き>をよくすることで腰痛がなくなる人が数多くいます」

 では、胸椎を<柔らかくする>にはどうしたらいいか? 自宅でも簡単にできる胸椎を柔らかくする運動を教えてもらった。

 「簡単にできるエクササイズをひとつ紹介します。まず、椅子に骨盤を立ててまっすぐ座り、腕全体を左右にまっすぐに伸ばします。そして、胸椎から回転するようにゆっくりと回ります。この時に息を吐きながら行ったほうが、余計な力が働かずに胸椎が動きやすいです。また、ゆっくりと戻ります。これを左右行います」

 腰をひねるのではなく、<胸をひねる>ことを意識するのがポイントだ。椅子に骨盤を立てて座ることで骨盤、腰椎が固定され、正しく胸椎が動きやすくなる。ぜひ試してほしい。

こしラボ:北海道帯広市。こしラボは市内で腰に不調を抱える方に対し専門的なコンディショニングを行っています。丁寧なカウンセリングにより不調が生じている原因を考え、検査でその問題を見つけます。背骨や骨盤のゆがみやズレを中心とした施術とあわせて、自宅でもできる正しい姿勢やトレーニングの方法を個別に提案し指導します。
http://www.koshilab.com

 
連載「国民病”腰痛の8割以上はなぜ治らないのか」バックナンバー

三木貴弘(みき・たかひろ)

理学療法士。日本で数年勤務した後、豪・Curtin大学に留学。オーストラリアで最新の理学療法を学ぶ。2014年に帰国。現在は、医療機関(札幌市)にて理学療法士として勤務。一般の人に対して、正しい医療知識をわかりやすく伝えるために執筆活動にも力を入れている。お問い合わせ、執筆依頼はcontact.mikitaka@gmail.comまで。

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