中国製添加物の中で著しく輸入量が増えているのが人工甘味料(shutterstock.com)
添加物業界で「混ぜ屋」と呼ばれる添加物メーカーがある。単体の添加物を混ぜて食品メーカーの要望に沿った製剤を行ったり、新製剤を食品メーカーに売り込んだりする。
たとえば混ぜ屋は、「酸化防止効果にクサロンという新製品ができましたがいかがですか?」と売り込んだりする。クサロンには、カゼインナトリウム、クエン酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウムなど複数の添加物が混ぜられているが、混ぜ屋は「食品に表示するときは、pH調整剤となります」などとメーカーに食品への表示事項も教えている。
混ぜ屋が多いのは大阪だ。しかも、数年前から中国製の添加物を仕入れるようになってきた。理由は単純明快で、価格が圧倒的に安いからだ。
たとえば、pH調整剤には不可欠なクエン酸ナトリウムは、国産品が1キログラム当たり700円前後だが、中国産は国産品の半値以下。コンビニチェーンなどから「価格を下げろ」との圧力を受けている食品メーカーにとっても、価格が下がるため製造コストの削減につながるから大歓迎だ。もちろん安全性など眼中にはない。
2000年以降、中国製の添加物の輸入が急激
中国製の添加物の輸入が急激に増えたのは2000年に入ってからだ。なぜ2000年以降、中国製添加物の輸入が激増したのか。その理由は、2000年に入って中国政府が、添加物を製造していたイタリア系の企業などを国営化し、添加物の自国製造に乗り出したからだ。そして、触媒を省くなどして製造コストのダウンを図ってきた。これは添加物など化学物質の製造において、極めて危険なことである。
こうした中、とりわけ中国製の添加物が目立って増えているのが人工甘味料だ。砂糖の100倍以上の甘さがあって低カロリーということで、ダイエット志向の高まりの中、清涼飲料中心に人工甘味料の使用は増え続けている。
その中でも急増している中国製の人工甘味料が、アセスルファムカリウムである。アセスルファムカリウムは、酢酸由来のジケテンとスルファミン酸を化学合成反応させた後に三酸化硫黄を反応させ、水酸化カリウムで中和して結晶化したもの。1967年にドイツで開発された人工甘味料だ。甘さは砂糖の200倍でカロリーは1キログラム当たり0キロカロリーだ。
かつては開発国のドイツからの輸入がトップを占めているが、2013年には30%を超えるシェアを中国製が占めるようになった。独立行政法人農畜産業振興機構調査部によると、アセスルファムカリウムの価格はドイツ製で1キログラム当たり8000~1万円なのに、中国製は5000円前後で、4~5割程度安い(2014年調査発表)。
また、砂糖の600倍の甘さがあり、カロリーは1キログラム当たり0キロカロリーの人工甘味料スクラロースは、2013年には輸入先が全て中国となった。