鎮痛剤の投与の繰り返しが腰痛を<国民病>にした
そのような複雑な原因で成り立っている腰痛に対して、一昔前までは積極的に「投薬(鎮痛剤)」が処方されていた。
実際には、現在も多くの医療機関で処方されていたり、あるいは自分自身で「痛み止め」を腰痛に対して使っている人も多い。しかしながら、鎮痛剤はあくまで一時的な対処療法であり、実際に薬の効果が切れてしまうと再び痛くなってしまう。そのため、再び投薬という悪循環に陥る。
実際にそのような治療を続けてきた結果、腰痛は多くの国で国民病のひとつとなっているのだ。
腰痛に関しては、さまざまな研究が行われている。そして、導き出されたひとつの答えが、米国内科医師会が最新ガイドラインで示された「腰痛には鎮痛剤の投与をなるべく避け、痛みが強いときの最終手段として用いる」というものだ。
どのように腰痛と向き合うべきか
では、どのように腰痛を治せばいいのか? 推奨されているのが、リハビリテーション(理学療法)や、マインドフルネス(瞑想の一種)、エクササイズ。ヨガやタイチー(太極拳)、認知行動療法なども推奨されている。
つまり、「腰痛は自分で主体的に行動して治す」ということだ。とはいえ、何をしたらよいかわからない人が多いだろう。医療機関を訪ね、医師や理学療法士の適切なアドバイスをもらい、それをもとに自らが能動的にアプローチする――。これが現在、推奨されている腰痛の治療法である。
たとえば、リハビリとして電気をかけたり、腰を引っ張ったり――という「受動的な治療」に留まっている患者は少なくない。だが、それでは治療効果は小さい。現実に、治らないから長期間に渡って通院する人が多いのだ。
腰痛は、理学療法士と一緒に適切なエクササイズを行ったり、学んだエクササイズを自宅で主体的に行っていくのが、改善の正しい道のり。専門家に適切なアドバイスをもらいながら<自分で治す>。それが最新の腰痛治療である。
(文=三木貴弘)