遺伝子の異常で発症するのはごく一部
インターネットで「遺伝子検査」と入力して検索すると、200種類以上の測定ができる遺伝子検査キット、太りやすいかどうかの体質がわかる遺伝子の検査など、多くの検査や製品が紹介されています。誰でも手軽に遺伝子検査ができる時代になったのです。
また、口腔粘膜を擦ったものを会社に送付すれば、そこでDNAが抽出できるので、一斉に遺伝子の検査ができるというわけです。そして日本人の平均に比べて、さまざまな病気の発症の危険性がどのくらい高いのかなどが、個々人に対して判断されます。
このような検査を行う目的は何でしょうか? 数字を出すことで、もし肥満になりやすい体質であることがわかれば、日頃から食生活や運動習慣に気を付け、病気の予防が推進できるということでしょう。
しかし、ある遺伝子の異常によって必ず疾患が発症することがわかっているのは、ごく一部です。
しかも、そのような疾患については慎重な診断とともに、その後に適切な医学的カウンセリングや指導が必要とされますので、上記のような民間の遺伝子検査では扱えません。そのほかの多くの疾患は環境要因などが重なって病気の発症が決まります。
ですから、遺伝子検査の結果を安易に解釈することは危険なのです。ある高名な先生は、このような遺伝子検査のことを「高価な占い」とおっしゃっています。ちなみに、親子鑑定などもこのような民間のサービスで行っているところがあります。