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【連載「眼病平癒のエビデンス」第9回】

10月以降、はやり目(流行性角結膜炎)が増加中! 感染拡大を防ぐには?

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目の充血は自己診断せず早めに眼科を受診すること(shutterstock.com)

 朝起きたら目やにで目が開かない、ゴロゴロする、鏡を見たら白目が真っ赤になっている――。そんな症状があったら、「はやり目」かもしれません。

 10月13日、国立感染症研究所は、感染症発生動向調査の結果を発表し、その中で、流行性角結膜炎(はやり目)の患者が前週に比べ、全国で約1.3倍に増加していることを報告しました。

 流行性角結膜炎は、アデノウイルスによる感染症です。感染者が触れた物に接触することで感染します。家庭内であれば、タオル、食器、ドアノブなど、職場であれば、筆記具、キーボード・マウスなども要注意です。その他、電車のつり革、エレベーターの手すりなどに触れても感染することもあります。

 家庭内、学校、職場に目が赤い人がいたら注意が必要ですが、ウイルスの潜伏期間は1〜2週間程度なので、周囲に目が赤い人がいなくても、いつ誰から感染したかは分からないことが多いです。

乳幼児が重症化すると後遺症を伴うことも

 その症状は、発病から約1週間後に、角膜の表面に傷や濁りができ、まぶしさや見えにくさの原因になることがあります。最初は片目だけに症状が出ても、のちにもう片目にも症状が出てくることが多いです。

 充血や目やになどの症状は約2〜3週間で軽快しますが、角膜の濁りは数か月治療が必要になることもあります。充血が取れたからといって治療を中止すると、角膜の濁りが後遺症として残ることあります。治癒したことを医師から告げられるまでは、自己判断しないことが大切です。

 はやり目では、まぶたの裏の結膜に「偽膜」ができることがあります。除去しないと、結膜と眼瞼(まぶた)の裏が癒着(瞼球癒着)することもあり、その場合は、眼球の動きが悪くなり、物がだぶって見えるようになることがあります。

 特に、乳幼児では重症化することが多く、「痛そう、泣いてかわいそう」だからといって点眼をきちんと行わなかったり、診察に行かなかったりすると、重篤な後遺症を伴うことがあるので、眼科医の指示通りに治療・通院することが大切です。

感染拡大を防ぐために重要なことは?

高橋現一郎(たかはし・げんいちろう)

くにたち駅前眼科クリニック院長。1986年、東京慈恵会医科大学卒業。98年、東京慈恵会医科大学眼科学教室講師、2002年、Discoveries in sight laboratory, Devers eye institute(米国)留学、2006年、東京慈恵会医科大学附属青戸病院眼科診療部長、東京慈恵会医科大学眼科学講座准教授、2012年より東京慈恵会医科大学葛飾医療センター眼科診療部長。2019年4月より現職。
日本眼科学会専門医・指導医、東京緑内障セミナー幹事、国際視野学会会員。厚労省「重篤副作用疾患別対応マニュアル作成委員会」委員、日本眼科手術学会理事、日本緑内障学会評議員、日本神経眼科学会評議員などを歴任。

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