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【連載「頭痛の秘密がここまで解き明かされてきた」第21回】

なぜ「二日酔いの頭痛」に苦しめられるのか?アルコールと頭痛の関係

アルコールと頭痛の関係〜なぜ「二日酔いの頭痛」に苦しめられるのか?の画像1

アルコールと頭痛の関係とは?(depositphotos.com)

 いよいよ忘年会シーズン本番になりました。年末年始は、忘年会やクリスマス会、新年会など、職場、友人、家族などと一緒にアルコールをよく飲む時期かと思います。そんな時に、ついつい飲み過ぎて、翌日朝に気分の悪く「二日酔いの頭痛」になるという方がいらっしゃいます。

 実は、アルコールに関連して起こる頭痛は2種類あると考えられます。1つは「アルコール誘発頭痛」と呼ばれる頭痛です。これはアルコール自体の毒性が頭痛を起こす場合です。2つめは、飲酒が契機となって「片頭痛」や「群発頭痛」を起こしてしまう場合です。特に赤ワインなどが、片頭痛を起こす原因となることは有名です。

 今回は、これらアルコールや飲酒にまつわる頭痛との関係を、お話をしたいと思います。

アルコール誘発頭痛の分類

 アルコールと頭痛の関係は、専門家の分類である「国際頭痛分類第3版(ICHD3β)」から見ると(注1)、どのように分類されているのでしょうか。国際頭痛分類では「8章:物質またはその離脱による頭痛」の細項目に詳しく記載がされています。この項目には、「8.1.4 アルコール誘発頭痛」の記載があり、その下位分類に、さらに2種類の分類があります。「8.1.4.1即時型アルコール誘発頭痛」はアルコールを摂取した後、即時から3時間以内に生じる頭痛です。この即時型アルコール誘発頭痛は遅延型に比べて、頻度はまれです。

 一方「8.1.4.2遅延型アルコール誘発頭痛」とは、忘年会シーズンになると多くの方が経験される、二日酔いによる頭痛と考えていただくとわかりやすいと思います。アルコールを摂取後、数時間経過してから生じる頭痛で72時間以内に消失するとされています。

 その特徴は、両側性、拍動性の頭痛で、身体的活動によって悪化します。この頭痛の原因はよくわかっていませんが、後述するアルコール代謝も関連していると考えられます。

「国際頭痛分類第3版(ICDH3β)」
 8章 物質またはその離脱による頭痛
  8.1.   物質の使用または曝露による頭痛
  8.1.4.  アルコール誘発頭痛
  8.1.4.1 即時型アルコール誘発頭痛
8.1.4.2 遅延型アルコール誘発頭痛 (二日酔いの頭痛)

西郷和真(さいごう・かずまさ)

近畿大学病院遺伝子診療部・脳神経内科 臨床教授、近畿大学総合理工学研究科遺伝カウンセラー養成課程 教授。1992年近畿大学医学部卒業。近畿大学病院、国立呉病院(現国立呉医療センター)、国立精神神経センター神経研究所、米国ユタ大学博士研究員(臨床遺伝学を研究)、ハワードヒューズ医学財団リサーチアソシエイトなどを経て、2003年より近畿大学神経内科学講師および大学院総合理工学研究科講師(兼任)。2015年より現職。東日本大震災後には、東北大学地域支援部門・非常勤講師として公立南三陸診療所での震災支援勤務も経験、
2023年より現職。日本認知症学会(専門医、指導医)、日本人類遺伝学会(臨床遺伝専門医、指導医)、日本神経学会(神経内科専門医、指導医)、日本頭痛学会(頭痛専門医、指導医、評議員)、日本抗加齢学会(抗加齢専門医)など幅広く活躍する。

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