チーズは牛乳の種類や製造などで違いが生まれる<奥深い食材>
フロマージュフェアは、「ワインと楽しむ」をテーマに、ヨーロッパの伝統料理のほか、全10種類以上のチーズをアラカルトやデザート、カクテルなどに取り入れ、ザ・プリンスパークタワー東京のシェフやパティシエらがアレンジ。
マッシュポテトにグリュイエールチーズを練りこみ、肉料理の付け合わせとして親しまれるフランスのオーベルニュ地方の伝統料理「アリゴ」。伸びるチーズは見た目にも楽しく食もすすむ。
「ウェルシュラビット」は、英国ウェールズ地方の伝統料理。狩猟で獲物が捕れなかったときに、チーズを肉に見立てた<ウェールズのうさぎ>が始まりだ。香ばしく焼きあげたパンと、牛乳やバターなどで味付けしたチェダーチーズの濃厚な味わいが特徴で、英国のパブでも人気の一品。
ほかにも、伊産モッツァレッラチーズに生クリームが入った濃厚なフレッシュチーズ「ブッラータ」のサラダ仕立て、冬のチーズの代表「モン・ドール」が主役のチーズプレート……。
チーズは、原料となる牛乳の種類や製造などで、見た目や味わい、風味が異なる。片岡さんがセレクトした多様なチーズと、シェフソムリエが厳選した芳醇なワインとのマリアージュはマニアを唸らせた。
カルシウムの高吸収が骨粗鬆症のリスクを下げる
「チーズの原料は主にウシ、ヒツジ、ヤギですが、さまざまな種類の乳が用いられます。ヒツジは濃厚な味わいが特徴で、ヤギは特有のにおいがありますが人気です。乳が取れる時期によって味も違い、製造時期でもおいしさに違いが生まれます」
「たとえば、秋から冬の間のみ生産される『ヴァシュラン デュ オー ドゥー』(通称モン・ドール)は、フランスでは<8月15日~3月15日>と製造期間が定められています。側面はエピセア(モミの木の一種)で巻いて熟成させ、エピセアの木箱で出荷するので木の香ばしさが広がります」
チーズは、良質なタンパク質を含み、カルシウムの吸収率も高く、女性ホルモンの減少とともに骨の密度が低くなり、女性に多い骨粗鬆症の予防にも効果的だ。骨粗鬆症は、骨折、身体機能の低下、生活の質の低下を招き、死亡のリスクを高める。
「チーズは牛乳の栄養を凝縮した食品。カルシウムは量も多くて消化吸収がいい。『骨粗鬆症』が心配な女性には、ぜひ愛食してもらいたい」「牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする<乳糖不耐症>の人でも、チーズなら大丈夫。熟成されて作られるチーズには、乳糖がほとんど残りません」(片岡さん)
日本のチーズ消費量は戦後から2000年頃まで急増を続け、その後は増減を繰り返しながら微増傾向だ。バラエティにあふれた味とレシピ、栄養価も高いこの<奥深い食材>にハマってみてはいかがだろうか。
(文=編集部)
片岡優香(かたおか ゆうか)
C.P.A.チーズプロフェッショナル、チーズタレント、フードジャーナリスト、大人の部活チーズ部顧問、チーズセミナーや料理の実演、コンサルティング、チーズ関連のイベントのほか、各メディアで幅広く活動中。人気の公式ブログ「チーズ臭い女と呼ばないで」 http://ameblo.jp/yuuka-pin/はコチラ。