作業員の熱ストレスや身体負荷などを把握する
日経デジタルヘルス(5月18日)によれば、富士通と富士通ネットワークソリューションズは、作業員の安全と健康状況を遠隔から見守るシステム「FUJITSU IoT Solution UBIQUITOUSWARE」の実証実験を関電工の電力設備の作業現場で5月から8月まで行うと発表した。
この実証実験は、作業員が脈拍センサーと温湿度センサーを搭載した「ユビキタスウェア バイタルセンシングバンド」を腕に装着し、温湿度と脈拍などのバイタルデータを組み合わせて、熱ストレスや身体負荷などを把握する仕組みだ。
測定したデータは、Bluetooth Low Energyによってスマホやクラウドサーバーに送られるので、作業員一人ひとりの安全と健康状況をいつでも見守ることができる。
従来、関電工が行っていた熱中症の予防策は、小型ファンを備えた空調服の着用、水分補給、休憩指示などだった。だが、今回のシステムが導入されれば、腕に装着するだけで作業に集中でき、熱中症の予防にも役立つという。
このような職場での熱中症の予防策は重要だが、家庭内の対策も怠ってはならない。
死亡のおよそ9割は室内で発生
熱中症は、体温を調整する機能がコントロールできず、体温が急上昇する機能障害だ。今の住宅は、密閉性が高く、風通しが悪い。窓を閉め切って冷房しなければ、室温は外気温より高くなる。
特に免疫力が低下している子ども、高齢者、妊婦、病人などの熱中症弱者は、暑さや喉の渇きを感じにくいため、室内でも熱中症になりやすく、重症化しやすい。
昭和大学の三宅康史教授(救急医学)によれば、2013年夏に熱中症で治療を受けた人は全国で約40万8000人。死者550人のうち65歳以上がおよそ9割。東京都監察医務院のデータでは、昨夏の東京23区内の熱中症による死者のおよそ9割は室内で起きていた。
室内での熱中症防止策を簡単にまとめよう。
エアコンを使って室温を27℃以下に保ち、空気清浄機や除湿機などで湿度を70%以下に下げる。窓を開け、扇風機や送風機などで風通しを良くする。遮光カーテンで日差しを遮断するのもいい。
脱水症状を起こさないように、洗濯、掃除、炊事の前後の水分補給はもちろん、睡眠時も枕元に水分を用意しよう。入浴時間を短めにする。お茶、コーヒー、アルコール類は、利尿作用が強く、脱水しやすいので控えよう。
外出時は、必ず帽子を被り、涼しい薄着で。いつでも飲めるように水分やミネラル飲料を持ち歩こう。外気温35℃以上の真夏日、外気温27℃以上で湿度の高い日、急に暑くなった日、風が弱い日などは、外出や激しい運動は避けたい。睡眠不足、偏食に注意し、体調を崩さないようにしよう。病院など緊急時の連絡先を確認しておくのも大切だ。
水分補給だが、スポーツドリンクは糖分が多い。塩分が含まれている梅昆布茶やみそ汁などもいい。日本救急医学会の指針では0.1~0.2%の薄い食塩水を奨めている。
熱中症対策の基本は、こまめな水分補給、しっかり塩分摂取、涼しく避暑。熱中症にならないように、この夏も快適に過ごそう。
(文=編集部)