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【連載「国民病”腰痛の8割以上はなぜ治らないのか?」第11回】

「座骨神経痛」という病名は存在しない! 痛みの原因は“お尻の奥の筋肉”が硬いから!?

あなたの梨状筋の状態をチェックしよう

 梨状筋症候群になる原因は、まだはっきりわかっていない。もともと坐骨神経にぶつかりやすい位置に梨状筋があるという人もいる。だが、多いのは梨状筋が「後天的に硬くなってしまっている」ケースだ。

 それを確かめる方法は、次のとおりだ。

①仰向けに寝て、足を伸ばした状態で股関節から足全体を内側、外側に回してみる(踵を支点にして、足を内側に倒したり外側に倒したりするようなイメージ)。

②その時に、片方の足の動きだけ悪かったり、股関節に痛みがあったりする場合、梨状筋が緊張して硬くなっている可能性がある。

③梨状筋はお尻の奥についているので、テニスボールなどをお尻の下において梨状筋を直接刺激して、痛みが出るかどうかを確かめる方法もある。

梨状筋をマッサージする

 梨状筋症候群は、梨状筋のストレッチやマッサージなどで改善することが多い。梨状筋の機能回復によって坐骨神経痛も改善する可能性がある。

 ネット上でも、「梨状筋 ストレッチ」で検索するとたくさんの動画が出てくるほど注目されている。なかでも簡単なのは、テニスボールを使う方法だ。

①まず「体育座り」になる。
②その姿勢で、テニスボールをお尻の外側に置き、重心をテニスボールのほうに傾ける。
③テニスボールをずらしながら、いわゆる“痛気持ちいい”箇所を探す。
④そこに、ゆっくり体重をかけて、数十秒ジンワリを押し続けることで、梨状筋がマッサージされる。
 
 このように、症状が出ている箇所と原因となる部位が別であることはよくあることだ。ある程度自己判断もできるが、間違ったアプローチで悪化させてしまうこともある。医療機関で原因をしっかり診断してもらい、治療やアドバイスをもらうことが望ましい。


連載「“国民病”腰痛の8割以上はなぜ治らないのか?」のバックナンバー

三木貴弘(みき・たかひろ)

理学療法士。日本で数年勤務した後、豪・Curtin大学に留学。オーストラリアで最新の理学療法を学ぶ。2014年に帰国。現在は、医療機関(札幌市)にて理学療法士として勤務。一般の人に対して、正しい医療知識をわかりやすく伝えるために執筆活動にも力を入れている。お問い合わせ、執筆依頼はcontact.mikitaka@gmail.comまで。

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