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【連載第7回 目に見えない食品添加物のすべて】

添加物の本当の怖さは味覚の破壊! それが「塩分」「油分」「糖分」の摂りすぎにつながる

shutterstock_218847100-2.jpg500mlの清涼飲料水には50~60gもの糖分が含まれているものもあるbluehand / Shutterstock.com

 前回、本来であれば安全であるはずの食品添加物の中にも、限りなくブラックに近いものが数々あるという話をしたが、食品添加物にはこの「安全性」とは別の怖さがある。実はこれが、食品添加物の持つ本当の怖さかもしれない――。

 そもそも私たちのカラダは、「塩分」「油分」「糖分」などの摂りすぎに対して防衛本能を持っている。「塩辛い」「油っこい」「甘すぎる」と感じる味覚だ。ところが、添加物にかかれば、この防衛本能などたやすく崩れてしまう。

 1日の塩分の理想的な摂取量の目安は、成人女性で8g、成人男性で10gまでとされている。しかし、インスタントラーメンやカップ麺の1杯に含まれる塩分量は、ほぼそれと同量だ。その結果、1日の塩分量が20g以上になっている人は少なくない。

 なぜこんなに塩分が使用されるのか? それは塩分が添加物やエキス類のうまみを強くしてくれるためである。本来、しょっぱいと感じるべきものも、添加物のおかげで「おいしい」と思えてしまうのだ。

 同様にインスタントラーメン1杯には30gを超える油が含まれている。インスタントラーメンの麺は長期保存させるために、約130~150度の低温油で麺を揚げて水分を飛ばす。この油を私たちは摂取していることになるのだが、実際の油の量と舌で感じる油っこさとは、大きな違いがある。

 油っこいと感じるポテトチップス1袋(30g)でも、使用されている油は約10gである。しかし、カップ麺を食べて油っこいと感じる人はあまりいないのではないだろうか。インスタントラーメンばかりではない。ファストフードや市販の弁当にも大量の油が含まれている。

 また、500mlの清涼飲料水には、50~60gもの糖分が含まれているものもある。砂糖でいうとコップ半分くらいの量だ。砂糖をこの割合で水に溶かしたものは、甘すぎてとても飲める代物ではない。ところが、それにクエン酸などの酸味料や数十種類の化学物質が配合された香料で香りをつけ、着色料で色をつける。そうすれば、いつものおいしい清涼飲料水のできあがりだ。

 こうして私たちは知らぬ間にかなり過剰な「塩分」「油分」「糖分」を摂っていることになる。私はこの3つを食品添加物よる「摂りすぎ3兄弟」とよんでいる。

わかりづらい成分表示も原因に

 摂りすぎ3兄弟のワナにはまってしまう一因には、成分表示の問題がある。加工食品には健康増進法にのっとった成分表示が義務づけられている。最近の健康志向のおかげで、この成分表示を気にする人もいるだろう。しかし、これが実にわかりづらい。「塩分」「油分」「糖分」とストレートに表示されていないのだ。

 たとえば、あるインスタントラーメンには「脂質39.6g」と表示されている。これはサラダ油に換算すると大さじ約4杯も使用しているということになる。「ナトリウム3.8g」と表示があった場合、これを塩分量に換算するためには、2.5をかける必要がある。3.8g×2.5=9.5gがこのインスタントラーメンに含まれるおおよその塩分量となる。

 また、とある500mlの清涼飲料水の場合、成分表示には100mlの熱量として、エネルギー48kcal、たんぱく質0g、脂質0g、炭水化物12gという表記になっている。この炭水化物12gというのが実は糖類の量を示す表記であり、500mlのこの清涼飲料水には砂糖にすると実に12g×5=60gも入っていることになる。

 これらの成分表示を見ただけで、正確な「塩分」「油分」「糖分」を読み取れる人は少ないのではないだろうか。

 冒頭に述べたように、添加物はこれら摂りすぎ3兄弟を「おいしい」と感じるように味覚を破壊してしまう。特に問題は子どもたちだ。子どものうちからコンビニ弁当やファストフード、スナック菓子などの味をおいしいと感じるようになってしまうと、野菜や天然だしなど食物本来の持つおいしさがわからなくなる。子どもの肥満や生活習慣病の予備軍が問題になっているが、これらも添加物と無縁ではないだろう。こんな子どもたちを育てている私たち大人の責任は決して軽くない。

連載「目に見えない食品添加物のすべて」バックナンバー

安部司(あべ・つかさ)

食品添加物評論家。1951年、福岡県生まれ。総合商社食品課に勤務後、無添加食品の開発・推進、伝統食品や有機農産物の販売促進などに携わり、現在に至る。熊本県有機農業研究会JAS判定員。経済産業省水質第1種公害防止管理者。工業所有権 食品製造特許4件取得。食品添加物の現状、食生活の危機を訴え続けている。主な著書にベストセラーとなった『食品の裏側』(東洋経済新報社)、『なにを食べたらいいの?』(新潮社)、『「安心な食品」の見分け方 どっちがいいか、徹底ガイド』(祥伝社)などがある。

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