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【連載第2回 頭痛の秘密がここまで解き明かされてきた】

片頭痛を引き起こす原因を知るために、「頭痛ダイアリー」を活用する

 むしろ、片頭痛の誘発因子・物質を知っておいたほうがいいでしょう。その誘発因子や物質として、ストレス、不眠過眠などの精神的因子や天候など環境的因子、食事性の因子などが知られています。これらの誘発因子に対して、片頭痛持ちの患者さんが、自分でセルフコントロールをしている方がたくさんいます。つまり「君子危うきに近寄らず」です。自分の片頭痛の誘発因子を知って誘発因子を避けることを心がけてください。

 でも「自分の片頭痛の誘発因子なんて分かるわけがない」、と考える方もいるでしょう。そんな方にオススメなのが「頭痛ダイアリー」です。頭痛が起こった前後の精神的要因、食事、天候、環境をメモする)を残すことで、自分がどのような誘発因子で起こっているかわかることがあります。日本頭痛学会では頭痛ダイアリーの使い方の説明やダウンロード可能なフォーマットを公開していますので参考にしてください。
https://www.jhsnet.org/dr_medical_diary.html


<片頭痛を誘発する因子>
①精神的因子:ストレス、精神的緊張、疲れ、不眠過眠など睡眠異常
②内因性因子:月経周期
③環境因子:天候変化(低気圧など雨や台風、温度差)、におい(香水、たばこ)、頻回の旅行(特に飛行機の使用)
④食事性因子 :空腹、アルコールなどの誘発関連食品

(慢性頭痛ガイドライン2013 引用改変)

<片頭痛を誘発すると考えられている食品>
1熟成チーズ、乳製品(アイスクリーム、ヨーグルト)、酵母製品
2アルコール(とくに赤ワイン)
3カフェイン含有飲料(過剰摂取と禁断)
4チョコレート(カカオを含む製品)
5硫酸塩を含む食品(サラダバー、魚介類、ぶどう酒)
6野菜(タマネギ、ヤサエンドウ、ピーナッツ)
7熱帯果物(バナナ、アボガド、パイナップル)
8保存肉製品 (ホットドック、ベーコン、サラミ)、漬物
9調味料(グルタミン酸ナトリウム)、人工甘味料(サッカリンなど)

(医学のあゆみ 頭痛最前線 2012;243巻13号p1110-13 引用改変)


連載「頭痛の秘密がここまで解き明かされてきた」バックナンバー

西郷和真(さいごう・かずまさ)

近畿大学病院遺伝子診療部・脳神経内科 臨床教授、近畿大学総合理工学研究科遺伝カウンセラー養成課程 教授。1992年近畿大学医学部卒業。近畿大学病院、国立呉病院(現国立呉医療センター)、国立精神神経センター神経研究所、米国ユタ大学博士研究員(臨床遺伝学を研究)、ハワードヒューズ医学財団リサーチアソシエイトなどを経て、2003年より近畿大学神経内科学講師および大学院総合理工学研究科講師(兼任)。2015年より現職。東日本大震災後には、東北大学地域支援部門・非常勤講師として公立南三陸診療所での震災支援勤務も経験、
2023年より現職。日本認知症学会(専門医、指導医)、日本人類遺伝学会(臨床遺伝専門医、指導医)、日本神経学会(神経内科専門医、指導医)、日本頭痛学会(頭痛専門医、指導医、評議員)、日本抗加齢学会(抗加齢専門医)など幅広く活躍する。

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