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【連載第2回 頭痛の秘密がここまで解き明かされてきた】

片頭痛を引き起こす原因を知るために、「頭痛ダイアリー」を活用する

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shutterstock頭痛対策はよく知るところから

 頭痛の種類は大きく分けて「1次性頭痛」と「2次性頭痛」のふたつに分類できることを話しました。「1次性頭痛」とは採血や、頭部CT、MRI画像検査などをしてみても原因のみあたらない頭痛(原因のない頭痛)でした。この中には大きく分類して「片頭痛」、「緊張性頭痛」、「群発頭痛」の3つがありますが、患者さんの数では圧倒的に「片頭痛」と「緊張型頭痛」が多くなります。

 現在、ネットで検索すると「片頭痛」 「偏頭痛」の2種類の表記があります。日本の頭痛研究を取り扱った学会では、通常「片頭痛」を使用していますから、「片頭痛」と書かれたWEBのほうがよりより確かな情報を得られると思います。

 片頭痛の特徴としては、①4時間~3日程度の間、痛みが続くことがある。②痛みは通常片側だが、両側のこともある。③拍動性(ドクドク脈を打つ感じ)で、頭痛と同時に悪心(吐き気)、光過敏(光に対して辛いと感じる)や音過敏(音によって症状が悪化する)を伴う場合も少なくないなど。

片頭痛は前兆の有無で大きく2つに分けられる

 さらに片頭痛は「前兆のある片頭痛」、「前兆のない片頭痛」の2つに分けることができます。頻度的には、「前兆のある片頭痛」が片頭痛患者全体の約3割、「前兆のない片頭痛」が約6割とされています。残りはどちらにも当てはまる症状です。

 片頭痛の前兆は、痛みが起こる前の神経的な症状で、視覚症状、感覚症状、言語症状があります。視覚前兆はキラキラした点や線が、視野に現れる症状、あるいは視野の部分的消失が一定の時間、持続する。感覚前兆はチクチクした感覚を伴う症状、感覚が鈍くなる症状が一定の時間、持続する。言語前兆では、失語性の言語障害が一定時間、持続する、などです。

 このような前兆が起こっている最中か、前兆後すぐに片頭痛が発症する場合は「前兆のある頭痛」と診断します。まれに、前兆のみ現れて頭痛がともなわない患者さんもいます。この場合は、通常治療は不要とされています。しかし「2次性頭痛」の場合もありますので注意が必要です。片頭痛では、これらの前兆が1時間以上続くことはないといわれています。言い換えればこのような症状が1時間以上続く場合は別の病気である可能性もあると考えられます。

自分の片頭痛が誘発するのは何かを知る

 脳内物質のセロトニンが血管を収縮させ、その後セロトニンが分解され、逆に血管が拡張するために頭痛が起こるという説や、顔面周辺の感覚をつかさどる三叉神経が刺激され、神経伝達物質の分泌から、血管が拡張したり炎症が引き起こされ、痛みが起こるという考え方などがありますが、単一の原因は特定されていません。

西郷和真(さいごう・かずまさ)

近畿大学病院遺伝子診療部・脳神経内科 臨床教授、近畿大学総合理工学研究科遺伝カウンセラー養成課程 教授。1992年近畿大学医学部卒業。近畿大学病院、国立呉病院(現国立呉医療センター)、国立精神神経センター神経研究所、米国ユタ大学博士研究員(臨床遺伝学を研究)、ハワードヒューズ医学財団リサーチアソシエイトなどを経て、2003年より近畿大学神経内科学講師および大学院総合理工学研究科講師(兼任)。2015年より現職。東日本大震災後には、東北大学地域支援部門・非常勤講師として公立南三陸診療所での震災支援勤務も経験、
2023年より現職。日本認知症学会(専門医、指導医)、日本人類遺伝学会(臨床遺伝専門医、指導医)、日本神経学会(神経内科専門医、指導医)、日本頭痛学会(頭痛専門医、指導医、評議員)、日本抗加齢学会(抗加齢専門医)など幅広く活躍する。

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