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ついに「男性用ピル」開発・解禁か? 1日1回で精子形成に必要なホルモン濃度低下

「男性用ピル」の開発が遅れている理由は?

 子どもを授かる幸福感――。それは女性だけに許された歓び。1秒あたり1000個もの精子を死ぬまで量産できる幸福感――。それは男性だけが知る誇りだ。

 「望まない妊娠」を回避する叡智が避妊だが、男女の「平等感」は少し温度差があるのではないか。女性は、不妊手術(卵管結紮術)から、ペッサリー、IUD(子宮内避妊用具)、オギノ式、基礎体温法、ピルまで、女性がコントロールできる避妊法の選択肢がある。かたや男性は、コンドームの使用とパイプカットしかない。

 「男性用ピル」の開発が遅れている理由は何か? 多くの臨床試験を重ねても副作用が頻発するため、治験が滞り、FDA(食品医薬品局)などの規制が強化されていることから、リスクを恐れるメーカーが開発を中止しているからに他ならない。直近の多くの事例から明らかだ。

世界各国で開発が進んでいたが……

 インドネシア国立家族計画調整委員会とアイルランガ大学の研究者らは、ガンダルサと呼ぶ葉に受精能力を低下させる成分があり、99%の有効率がある事実を大規模な治験で確認。だが、その後の報告はない(GlobalPost.com/Indonesia’s New Male Birth Control Pill is ‘99 Percent Effective’2014年12月4日)。

 世界保健機関(WHO)リプロダクティブヘルス研究部門のMario Festin氏らは、テストステロンをプロゲストゲンと併用する避妊注射の臨床試験を実施した。だが、挫瘡(にきび)、性欲増大、筋肉痛、気分障害、情緒障害などの副作用が高頻度に見られたため、開発中止に追い込まれた(『Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism』2016年10月27日)。

 大阪大学の分子生物学や遺伝子学の研究者らは、マウスを使った遺伝子操作の実験を重ね、「カルシニューリンという酵素が可逆的かつ迅速に作用する男性用ピルになり得る」「性ホルモンではないため、副作用も性欲減退やうつに襲われるリスクも低い」とする論文を『Science Expressジャーナル』(2016年10月1日号)に発表した(「foxnews」2017年1月5日)。

 英国ウルヴァーハンプトン大学の研究者グループは、ペプチド化合物によって精子の尻尾を一時的に麻痺させる避妊法を開発。行為直前に飲むだけで効果があり、数日後に性機能は復元するとする研究を発表した(参考:「IRORIO」2016/10/24)。

 このような精子の機序や「男性用ピル」の研究は、オーストラリアのモナッシュ大学のサバチーノ・ベンチュラ博士やアメリカの研究機関でも進んでいる。

 また、アフリカ・ソマリ族が狩猟や戦闘に使ってきた矢毒に含まれるウアバイン(ouabain)と呼ぶ成分(キョウチクトウ科の植物の種子)から合成した「男性用ピル」も開発中だ(参考:「Journal of Medicinal Chemistry」)。

 さらに、米カリフォルニア国立霊長類研究センター(California National Primate Research Center)」は、「ベイサルジェル(Vasalgel)」と呼ぶ半固形のポリマージェルを精管に注入し、精子の通り道を塞ぐ避妊法をウサギとサルを使った実験で確認。サル16匹のうち1匹の精管に精子肉芽腫の合併症がみられたが、ヒトの精管に注入する治験が計画中だ(参考:「AFP」2017年2月7日)。
 
 このように研究の多くはマウスなどの動物実験の成果なので、ヒトへのエビデンスは、全く確認されていない。近い将来、冒頭に紹介したヒトを対象にした臨床試験を重ねれば、男性垂涎の「男性用ピル」が避妊の新境地を開くかもしれない。
(文=編集部)

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