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【シリーズ「これが病気の正体!」第13回】

【閲覧注意】巨大血腫で脳が変形~脳出血が起きると脳はこうなる

【閲覧注意】高血圧がもたらす脳出血~血圧コントロールで防ぐの画像1

高血圧性脳出血(モザイク入り)

 「高血圧性脳出血」は「脳卒中」全体の15%を占める。高血圧による「脳動脈穿通枝(細い脳内枝)」の血管壊死と、それで生じた小動脈瘤の破裂が原因となる。

 減塩(=食事指導)や高血圧治療によって減少傾向にはあるものの、「高血圧」はいまだ関心の薄い人が多い。近年は高齢者ばかりでなく、若い人にも高血圧は少なくない。

 高血圧性脳出血は、「被殻出血(外側型脳出血)」が45~55%と最も多い。30~35%を占める視床出血(内側型脳出血)が、それに次ぐ。脳の部位のである橋(きょう)や小脳に出血することもあり、しばしば重症になる。

 背景には、必ず高血圧がある。未治療や途中で治療を止めてしまうと脳出血のリスクが高まる。

 危険因子は、①高血圧、②HDLコレステロールの低値、③MRI検査でわかる病状のないラクナ梗塞(脳内深部の小さな梗塞巣)の多発、の3つだ。発症時の症状は、ろれつが回らないことや歩行不可能、麻痺などがある。

 臨床的には、出血した部位に応じた麻痺症状とともに、脳圧亢進による頭痛、嘔吐、意識障害がみられる。「被殻出血」と「視床出血」の違いは眼に表れる。前者では、病巣をにらみつけるように両眼が寄る(共同偏位)が、後者では眼が両方とも下に向く(下方偏位)。

 発症後1時間以内に「深昏睡」となる場合や、橋出血/高度の小脳出血は死亡率が高い。手術による血腫除去の対象となるのは、大量(30ml以上)の被殻出血や、3~4cm以上の大きさの小脳出血だ。

堤寛(つつみ・ゆたか)

つつみ病理相談所http://pathos223.com/所長。1976年、慶應義塾大学医学部卒、同大学大学院(病理系)修了。東海大学医学部に21年間在籍。2001〜2016年、藤田保健衛生大学医学部第一病理学教授。2017年4月~18年3月、はるひ呼吸器病院・病理診断科病理部長。「患者さんに顔のみえる病理医」をモットーに、病理の立場から積極的に情報を発信。患者会NPO法人ぴあサポートわかば会とともに、がん患者の自立を支援。趣味はオーボエ演奏。著書に『病理医があかす タチのいいがん』(双葉社)、『病院でもらう病気で死ぬな』(角川新書、電子書籍)『父たちの大東亜戦争』(幻冬舎ルネッサンス、電子書籍)、『完全病理学各論(全12巻)』(学際企画)、『患者さんに顔のみえる病理医からのメッセージ』(三恵社)『患者さんに顔のみえる病理医の独り言.メディカルエッセイ集①〜⑥』(三恵社、電子書籍)など。

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