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ニオイはもはや社会問題? 柔軟剤の「スメハラ」から体臭を脳内捏造する「自臭症」まで

ありもしないニオイを脳内で作り出してしまう「自臭症」

 「自臭症(自己臭症、自己臭恐怖症)」とは、「自分は臭いかもしれない」「ニオイのせいで迷惑をかけている」という思い込みが強くなる症状だ。

 軽い状態の自臭症だと、制汗剤を使い過ぎて皮膚がかぶれたり、体をゴシゴシと強く洗い過ぎて肌荒れを引き起こしたりする。重度になれば、他人と接触することが怖くなり、学校や職場に行けなくなってしまうのだ。
 
 自臭症が厄介なのは、冒頭で述べたようにニオイは感覚的なものであるため、「臭い」と思い込んでしまったら当人にはニオイが発生しているようにしか感じられないことだ。

 たとえば口臭に関する自臭症の場合、口臭外来や歯科医院で検査して問題がないと結果が出ても、当人は科学的なデータでさえ否定してしまう。そのため、症状が進行すれば精神科を受診するしかない。

 周囲と自分自身への悪影響を考えると、合成香料が含まれる制汗剤や柔軟仕上げ剤の使用は控えめにしたほうがよさそうだ。そしてニオイについては自分の感覚を絶対視せず、周囲の冷静な意見にすなおに耳を傾けることも必要だろう。
(文=森真希)

森真希(もり・まき)
医療・教育ジャーナリスト。大学卒業後、出版社に21年間勤務し、月刊誌編集者として医療・健康・教育の分野で多岐にわたって取材を行う。2015年に独立し、同テーマで執筆活動と情報発信を続けている。

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