「企画・原作:秋元康」からは謝罪なし
今回の改題報を読まれて即、一昨年のお盆中に都内の起きた、聞くだに痛々しい局部切断事件を思い出された方も多いだろう。
こちらは事務員として働く妻から「(酒宴で)性行為を強要された」と告白された夫(当時25)が激情し、園芸用バサミを持参して相手(同42)の弁護士事務所を急襲、その男性の局部を妻の眼前で私刑に処したというもの。
その内容も衝撃的ならば、容疑者の夫が元プロボクサーで、事件当時、「法曹界入り」を夢見る現役の慶応大学法科大学院生という異色の経歴も相まって、「平成の阿部定事件」と耳目を集めた。
一方、全国的に有名な郷土料理「きりたんぽ」に便乗した名称トラブルに関しては、平成20年、地元の土産物企画販売会社が食材の形を模したマスコット(その名もずばり)「秋田名物きりちんぽ」なる携帯ストラップなどを発売しようとし、反対の声に圧されて中止する騒ぎもあった。
県民感情への配慮不足や悪ノリ過剰の結果、改題を余儀なくされた原題。発案者が誰かは報じられていないものの「企画・原作:秋元康」と誇らしげに掲げている以上、カリスマ自身が命名したものと推測するのが趨勢だろう。
現時点で本件に関する秋元氏の見解は公表されていない。昨秋の欅坂46のナチス似衣装問題でも「事前報告がなかったので、チェックもできませんでした」と監督不行き届き談話で幕引きを計ったばかり。
本件がもし、話題作りの達人が自ら発案し、それに周囲の誰もが反対の意を唱えられない「裸の王様」的な誤算だとしたら……。売れっ子という影響力からも、2020東京五輪の大会組織委員長の理事という立場からも、「思いやり」を忘れてほしくないものだ。
(文=編集部)