体内から取り出されたのはなんと2本の枝
「何かある! 異物カンシを用意して!」
リーダー医師のその言葉に、内視鏡室に緊張感が走る。異物カンシでそれを取り出すと、なんと直径約5mm、長さ約20cm、筒状の木の枝が出てきた。おまけに、その筒状の木の枝には、クリスマスツリーのようにいくつもの小さい枝が付いている。
木の枝が口から出てきた時、内視鏡室にどよめきが起きた。医師も看護師もみんなの表情が変わった。次にリーダー医師は、この木の枝による食道損傷がないかを調べるために、再度スコープを食道内に入れた。幸い食道内には損傷はなかった。
そのままスコープは胃の中に入っていった。するとどうだろう、胃の中にも異物があるではないか! 今度も木の枝のようである。これも異物カンシで取り出した。今度は直径約1cm、長さ約10cmの筒状の木の枝である。
前回以上のどよめきが起きた。女性が言うように2本も入っていたこと、そして、こんなにも太い物が入っていたこと、その二重の驚きのためである。1つならまだしも2つも出てくるとは誰が予想しただろうか。
信じられないことであるが、人間はこんなものが丸呑みできるのである。結局、患者は咽頭損傷のため耳鼻咽喉科に入院し、子供は問題なく帰宅となった。
この患者が、木の枝を飲み込むことで死ぬことができると思ったのか、どのようにして死ぬつもりだったのか、それは知る由もない。しかし、こんなことがありうるということには驚かされた。
複雑化した現代社会の中で、出産後の育児は以前には考えられなかったような精神現象を母親に起こしていることは事実のようである。