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【連載「Universal Jintai Japan(UJJ)=人体迷宮の旅」第2回】

【閲覧注意】巨人症骨格、穿頭頭蓋、あらゆる民族の頭蓋骨。ドラマ『BONES』も吹き飛ぶ驚異のコレクション! 「ムター・ミュージアム②」

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顔面のスライス標本 画像はモザイク加工をしたもの

 

 世界の医学博物館の先駆として、驚愕の医学標本コレクションを誇る「ムター・ミュージアム」。19世紀半ば、トーマス・デント・ムター博士の個人コレクションの寄贈をきっかけとして始まったものだが、米国フィラデルフィアのダウンタウンの中心地にあり、一般公開されていることから、そのマニアックな展示とは裏腹に、秘かな観光スポットとしても人気を得ている。

 ミュージアムは、フィラデルフィア医師協会の建物内にあり、吹き抜けの2フロアで構成された展示室には、所狭しと医学標本がひしめき、膨大なコレクションには目眩さえ起こしそうなほどだ。木製の展示キャビネットはコレクションの時代性を感じさせるもので、落ち着いた雰囲気が古き医学標本の強烈なグロテスクさを際出させるともいえる。

 もちろん、ここに展示されている標本は、すべて真摯な医学的な目的のために作られ、収集されてきたものばかり。それだけに、150年以上に渡る医学の歴史とその背景にある世相を映し出しているのだ。

 展示物の中でもまず目を引くのが、身長2メートル31センチという巨人症の全身骨格。そのすぐ隣りには、1メートル足らずの軟骨異栄養症の小人の全身骨格が並ぶ。また、「石鹸おばさん(the soap lady)」と呼ばれる標本は、18世紀に黄熱病で亡くなった女性がアルカリ性の土に埋葬されたことから全身の脂肪が石鹸状となってミイラ化している。

ケロッピー前田(けろっぴー・まえだ)

身体改造ジャーナリスト。1965年、東京生まれ。千葉大学工学部卒後、白夜書房(コアマガジン)を経てフリーランスに。世界のアンダーグラウンドカルチャーを現場レポート、若者向けカルチャー誌『ブブカ』『バースト』『タトゥー・バースト』(ともに白夜書房/コアマガジン)などで活躍し、海外の身体改造の最前線を日本に紹介してきた。近年は、ハッカー、現代アート、陰謀論などのジャンルにおいても海外情報収集能力を駆使した執筆を展開している。著書『今を生き抜くための70年代オカルト』 (光文社新書) が話題に。近著に『CRAZY TRIP 今を生き抜くための“最果て"世界の旅』(三才ブックス)がある。

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