放射線に代わる新たながん治療のツールとして期待
たとえば、がん治療だ――。低温大気圧プラズマは、脳腫瘍、胃がん、肺癌がん、卵巣がん、メラノーマ(皮膚がん)などの細胞株に対する殺細胞効果がある。その作用機序や最適条件などは完全には未解明だが、がんの細胞死のメカニズムに活性酸素が関わっている事実が日本大学医学部などの研究からも判明。低温大気圧プラズマ技術は放射線のような被曝リスクがないので、新たながん治療ツールとして期待が高まっている。
複雑な代謝機構の解明、アルツハイマーなどの難病の原因究明や疾病予防・早期発見にも目覚ましい成果を残せる日が近いかもしれない。
プラズマ医療や生命科学に造詣が深い名古屋大学未来社会創造機構の堀勝教授によれば、低温大気圧プラズマ技術は、医療分野と同じように、植物や魚類の成長促進、食物の滅菌・殺菌の領域にも有効なことから、世界の食糧難の解決に貢献したり、農業・水産業に一大ブレークスルーを起こす兆しが感じられると指摘している。
プラズマ医療、プラズマ農業、プラズマ水産業――。その巨大なイノベーションは、どんな未来を世界に見せてくれるのだろう?楽しみだ。
(文=編集部)