アメリカでもパッチ式のインスリン投与デバイスが開発中
Lee氏の試験で用いられたメトホルミンは、世界では最も多く使用されている2型糖尿病治療薬であるが、日本ではあまり用いられていない。日本で一般的に使用されている糖尿病薬であるインスリンは、分子量が大きいため極小針を用いた投与が難しく、また、薬物送達の過程で生じる過熱により損傷を受けやすいことから、今回の試験の対象薬とはならなかった。
しかし、インスリン投与患者にも明るいニュースがある。アメリカでは、まだ前臨床試験段階ではあるが、ノースカロライナ大学とノースカロライナ州立大学の研究チームが、肌に貼り付けておくだけで血糖値の上昇を感知し、自動的に適量のインスリンを投与するデバイス「スマート・インスリン・パッチ」の開発を進めている。
こちらのパッチも血糖値の上昇に応じて、インスリンが微小針を通して皮下に注入される仕組みで、継続投与によって、生理的なインスリン分泌に近いインスリン治療を可能にするという。マウスを使った実験では、パッチ貼付後30分以内に血糖値が低下し、その効果は9時間持続することが確認されており、最新の実験では作用時間を20時間に引き延ばすことに成功している。現在、臨床試験の準備中であり、今後の展開が期待される。
(文=編集部)