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朝食は「抜く」べきか「食べる」べきか? 健康効果と病気リスクで議論中

朝食を欠くと脳出血を引き起こすリスク

 だが、今年に入り、またもや新説が公表された。国立がん研究センターなどの共同研究チームが、全国8県在住の男女8万2772人(45~74歳)を1995年~2010年という長期に渡って追跡調査した報告である。

 その調査期間中、脳卒中(脳梗塞/脳出血/くも膜下出血)を発症した3772人、および虚血性心疾患(心筋梗塞/急性心臓死)を発症した870人については「朝食との関連」を研究陣は解析した。

 具体的には「毎日食べる」組と「週0回」組や「週1~2回」組など4派に分類して関連性を追った。結果、毎日食べる組を基準にした場合、週に0~2回の階層は脳出血を引き起こす危険性が1.36倍増、脳卒中総体では1.18倍高いという差が弾き出された。

 従来から、朝の欠食(=空腹ストレス)が肥満や高血圧につながる恐れのあることは知られてきた。が、さらに脳出血のリスクも高まるという研究報告は世界初だった。

 高血圧は「脳出血」の大きな要因であり、とりわけ早朝時の血圧上昇が危険性を高める。欠食によって朝の血圧があがればなおさらだろう。

 同じ脳卒中系でも「脳梗塞」単体では4派間の比較差は認められず、心疾患系でも有意差は見られなかったのが証左ともいえる。

朝食2回!? でも太らない

 この長期研究の成果が「朝食抜きか、否か!?」論議を再燃させるのは必至だ。さらに先日、かなり興味深い関連情報が海外からもたらされた。

 『mental floss』の掲載記事によれば、米国内の中学生を対象にした調査で「朝食抜き、ないしは不定期」派の生徒よりも、「自宅と学校で2回の朝食をとる」派の生徒のほうが太りにくいという事実が判明したと報じている。

 「2回の朝食」という部分は決して誤植でない。なんでも米国の学校給食法(National School Lunch Program)では昼時のランチ同様、朝食も支給される例があるらしい。児童の健康維持という意図以外に、救貧措置も兼ねているためだ。

最も肥満を引き起こすのが「朝食抜き」

 イエール大学とコネチカット大学が行なった研究でも、最も肥満例を引き起こすのが「朝食抜き」派と判明し、そのリスクは2倍にも上ると警告も。

 ちなみに「朝食1回」「朝食2回」双方の肥満比は僅差だった。

 この米国の児童の朝食事情と関連現象が、世界共通のものかどうかは今のところわからない。そして、世代間や年齢層も超えて現われる結果なのかも、今後の研究にゆだねるしかない。

 いずれにせよ、どんな人にも朝は必ず訪れ、誰もが空腹感に襲われる。けれども健康促進のためには食べるべきか抜くべきか、その“正解”は出ていない。
(文=編集部)

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