しゃっくりが原因で起きると考えられる疾患は実にさまざまだ。
横隔膜の運動を支配する横隔神経が直接刺激を受けて起きるしゃっくりは、横隔膜の炎症、肺炎、胸膜炎、気管支喘息の他、胃腸の炎症、胃がん、食道がん、腎臓病、脳腫瘍などが原因になる時がある。
脳と脊髄をつなぐ中枢神経が直接刺激を受けて起きる中枢性しゃっくりは、脳腫瘍、脳卒中、アルコール依存症、頭部や脊髄の外傷などが原因になる場合がある。
中枢神経から伸びた末梢神経が刺激を受けて起きる末梢性しゃっくりは、 心筋梗塞、食道がん、肺がん、甲状腺がん、肺炎、気管支喘息などが主因。腹部の手術後に消化器が刺激されて発症するケースも少なくない。
仕事、学業、人間関係などによる強度のストレスによって起きる心因性のしゃっくりは、神経性食思不振症などの精神疾患が原因。神経性食思不振症は、青春期やせ症,拒食症ともいわれ、思春期の女子など、女性に多発する。極度の不食と痩せ、盗み食い、激しい過食、無月経などを伴う。
ステロイド、抗がん剤、睡眠薬、抗精神薬など、作用の強い薬の副作用がしゃっくりを誘発するケースも多い。服用後にしゃっくりが出る時は注意しよう。
ただし、ほとんどのしゃっくりは一過性だ。12対ある脳神経の一つの迷走神経を刺激すると止む効果がある。具体的な方法としては、息を止めて冷水を飲む、指で舌を引っ張る、目や耳をこする、喉や頭を刺激する他、お腹のストレッチをする、甘いものを口に含む、深呼吸する、両方の指を耳の穴に入れて30~60秒間、強めに押さえるなどで、収まるだろう。
ちなみに、ギネスブックのしゃっくりの世界最長記録は、アメリカのチャールズ・オズボーン爺さんの68年間。1922年に始まり、毎分20〜40回のペースでしゃくり続け、亡くなる1年前の1990年に止まったとか。享年96歳! これはビックリ!
オズボーン爺さんのように重大な疾患がなくても、しゃっくりが出続ける稀なケースもある。だが、しゃっくりが異常な頻度で出たり、止まらなかったり、心身の不調が収まらなければ、医師の診断を必ず受けてほしい。
(文=編集部)