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【シリーズ「冬こそ注意したいちょっとした病気の兆し」第5回】

冬に大流行のノロウイルス対策は? 危険なのは二枚貝だけでなく感染者の吐瀉物なども

 ノロウイルスに感染すると、吐き気、嘔吐、腹痛などの症状があり、潜伏期は1~2日。通常は、2~3日で改善し、軽症で終わることが多い。だが、乳幼児や高齢者、免疫力の低下した人は注意したい。症状が消失しても、約1週間は糞便中に検出されるからだ。迅速検査キットによる便検査は、3歳未満と65歳以上、免疫力の低下した人(臓器移植後や悪性腫瘍のある人など)を対象に、2012年4月から保険適応になっている。

 治療法は、抗ウイルス剤やワクチンはないため、主に脱水予防などの対症療法しかない。水分補給を十分にして安静にするが、食事ができない時は、食塩とブドウ糖を混合して水に溶かした経口補水液を飲ませる。12時間以上、排尿しない場合は、脱水症状の治療が必要なので、病院で点滴を受けなければならない。

 感染予防は、まず手洗いの励行だ。 調理の後や二枚貝を取り扱った後、またトイレの後などは十分に手を洗う。石鹸と流水で洗えば、付着したノロウイルスを皮脂と共に洗い流せる。感染予防には手洗いが最も有効だ。

 次に、食品の加熱。85℃以上、1分以上の加熱をすれば、感染力は失活する。調理器具は洗剤を用いて丁寧に洗浄し、家庭用塩素系漂白剤(ハイタ−、ブリーチなど)で浸すように拭くと効果がある。

 吐瀉物と糞便の処理は慎重に。吐瀉物や糞便は、決して素手で触らず、使い捨ての手袋を利用して処理する。残滓は、家庭用塩素系漂白剤で十分にふき取り、ビニール袋に密封して燃えるゴミとして処分する。

 ノロウイルス感染は予防が大切だ。一旦発症すると、次々に感染者が芋づる式に急増する。保育所、介護施設、病院など、乳幼児、高齢者、免疫力の低下した人が集まる場所は、感染が広がりやすいので、特に注意したい。吐き気、嘔吐、腹痛を伴った症状や脱水症状の兆候などがあれば、すぐに医療機関で診断を受けてほしい。
(文=編集部)

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