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特定看護師は〝5人に1人が女医の時代〟の救世主となりえるか?

 外科医だけではなく、すべての診療科の医師、特に勤務医の労働環境は決して恵まれたものではない。労働加重の改善につながる対策の1つとして期待されているのが、現在整備が進む特定看護師の存在だ。

 日本版NP(Nurse Practitioner)/PA(Physician Assistant)制度への準備段階として設定された職種だ。もともと、NP/PAは欧米では1960年代から医療分業化の職種として確立されてきた。NPは看護師が外来診療を中心に専門的な医療、あるいはプライマリケアを提供する。現在の日本では、ホームドクターに近い独立した医療提供者となる。一方、PAは入院を中心に医師の助手として手術室やICUなどで患者のケアを行う職種だ。

 医療が高度化・複雑化すればするほど医師と看護師の中間に存在する業務に対処できるNP/PAの導入は、多職種協働による新しいチーム医療の推進・確立によって、医師はより専門的な診療に専念できる。患者は安心・安全で良質な医療の提供を受けることができる。

 しかし、日本で一足飛びにNP/PA制度の導入とはならなかった。厚生労働省の「チーム医療の推進に関する検討会」では、NP/PAについては多くの反対意見や慎重論があり、引き続き検討することとなり、結局妥協の産物として「特定行為に係る看護師(以下,特定看護師)」が創設された。
 
 特定看護師の業務は、あくまでもの医師の指示を必要とする「診療補助」に当たる。厚労省指定の研修機関で指定研修を終了後、高度な専門知識および技能を持って行う必要のある38の特定行為を行うことができる。

 研修制度は昨年10月からスタートしており、厚生労働省は、2025年までに10万人超の養成を目指すとしている。

 女性医師は、医者としての仕事と家庭人としての生活の両立、妊娠・出産・子育てをどうするなど、男性医師に比べ常に過酷かつ複雑な選択の必要性にさらされている。女性医師の離職防止・復職支援は国や各大学・学会などによるさまざまな支援も行われているが、この特定看護師が医師の過重労働を軽減する一つの方策となり、女性医師にとっても働きやすい環境が生み出されるのかが注目されるところだ。
(文=編集部)

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