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【連載「乳酸菌で腸内環境を改善、がんも予防!」第5回】

ヨーグルト、チーズ、味噌、醤油、酒…古くから利用されてきた「乳酸菌」は数百種類! 

 乳酸菌を大きく分けると、「乳酸桿菌」と「乳酸球菌」とに分けることができる。乳酸桿菌は棒状の形をし、人間の体内では主に小腸に住み、腸管免疫力を高めたり、有害物質を減らす役割を果たしている。一方、乳酸球菌はその名のとおり球状をしており、コレステロールを下げたり、免疫力を高める役割などを果たす。どちらも、酸素の比較的少ない環境を好む性質がある(通性嫌気性菌)。

 もう一つ、私たちの腸内細菌の中の善玉菌の代表であるビフィズス菌。糖を分解する際、乳酸だけでなく酢酸を生成したり、酸素があると生きていけない嫌気性菌であるため、厳密にいうと乳酸菌に含まれてはいないのだが、乳酸菌とよく似た働きをしているため、広義で乳酸菌の仲間として考えられている。

 ビフィズス菌は、V字型やY字型に枝分かれした形状を示すのが特長で、主に大腸に住み、人間の腸内に最も多く存在する善玉菌である。

 細菌を分類するのには、数多くの種類が存在するため、正式には「属・種・株」によって分類されている。乳酸菌も例外ではない。たとえば、あるヨーグルトに使用されている乳酸菌は「ストレプトコッカス属・サーモフィラス菌・1131株」と表現される。

 それぞれの菌によって特長があるので、本来ならどのような効果を期待するかによって摂る乳酸菌を変えることが望ましい。なお、乳酸菌は30以上の属に分類されているが、その代表的なものをあげると以下のようなものがある。

●ストレプトコッカス属
 ヨーグルト、チーズ、ソーセージ、植物性発酵食品など幅広い分野で使用されている。

●ロイコノストック属
 乳製品、植物性発酵食品、加工食肉など幅広い製品に使用されている。

●ラクトパチルス属
 最も菌種が多い。代表的な菌種はアシドフィルス菌、ガッセリー菌、ロイテリー菌等、人の腸内にいるものや、ブルガリア菌、ラクティス菌などを抱える。これらの菌は多くの発酵食品に使用されている。

●ペディオコッカス属
 ピクルスやザワークラウト、チーズ、発酵ソーセージなどに使用される。

●エンテロコッカス属
 腸球菌として人や動物の腸内に住む。

●テトラジェノコッカス属
 醤油をつくるのに欠かせないハロフィルス菌、キムチから分離されたコリーンシス菌などがいる。
 


連載「乳酸菌で腸内環境を改善、がんも予防!」バックナンバー

後藤利夫(ごとう・としお)

新宿大腸クリニック院長。1988年、東京大学医学部卒業。92年、東京大学附属病院内科助手。「大腸がん撲滅」を目標に独自の無麻酔・無痛大腸内視鏡検査法を開発。大腸内視鏡40000件以上無事故の大腸内視鏡のマイスター医師。一般社団法人・食と健康協会顧問。著作に『あなたの知らない乳酸菌力』(小学館)、『その便秘こそ大腸ガンの黄信号』(祥伝社)、『腸イキイキ健康法』(主婦と生活社)、『腸をきれいにする特効法101』(主婦と生活社)、『腸いきいき健康ジュース』など多数。大腸がんのインターネット無料相談も実施中。
新宿大腸クリニック
公式HP http://www.daicho-clinic.com

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