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【シリーズ「恐ろしい飲酒習慣」第6回】

酒の飲み過ぎで危険なのは肝臓だけではない! 膵臓・胃腸・心臓に及ぼすリスクの実態

 慢性膵炎や糖尿病が恐いのは、膵臓がんの強いリスクファクターになることだ。厚労省の『2013年人口動態統計』によれば、膵臓がんの死亡者数は、3万672人。がんの総死亡者数36万487人の8.5%を占め、肺がん、胃がん、大腸がんに次ぐ第4位。とくに40歳代以降の増加が著しい。

 膵臓がんの主因は、酒の飲み過ぎ、喫煙、肥満などの生活習慣だが、とくにヘビースモーカーの発症率は、非喫煙者の2〜3倍。また、患者の約17%は糖尿病を併発している。進行すると、みぞおちから左上腹部にかけての激痛、背部の痛み、吐き気、嘔吐、食欲低下、倦怠感、体重減少、高熱、下痢、黄疸などを伴う。だが、初期は自覚症状が少なく、転移や進行が早いため発見が遅れ、発見後2年以内に死亡するケースが多い。

 さらに酒の飲み過ぎは、肝臓、膵臓だけではなく、胃腸などの消化器系や心臓などの循環器系にも悪影響を及ぼす。

 たとえば、胃粘膜のびらんや出血が起きる急性胃炎、胃酸・胆汁酸・すい液が胃から食道に逆流する胃食道逆流症をはじめ、食道と胃の境目の粘膜が裂けて大量出血するマロリーワイス症候群、食道の粘膜下層の静脈が破裂する食道静脈瘤、急性の潰瘍や胃炎などが起きる急性胃粘膜病変、食後や空腹時の腹痛や出血がある胃・十二指腸潰瘍、腸から肝臓へ流れる門脈が詰まる門脈圧亢進性胃炎のほか、下痢、栄養障害、痔核(いぼ痔)などを誘発する。

 さらに、心臓などの循環器系では、心筋の収縮が阻害されるアルコール性心筋症をはじめ、心筋梗塞、心不全高血圧脳梗塞、脳出血、不整脈、末梢血管障害などを発症する。

 このように、過剰飲酒がもたらす病変や病態は、肝臓・膵臓・胃腸の消化器系、心臓の循環器系から全身の組織に及び、想像を絶する甚大なダメージをもたらす。長期間・多量の飲酒習慣は、百害あって一利なし。文字通り、万病の元なのだ。
(文=編集部)

参考:「おもしろサイエンス お酒の科学」(日刊工業新聞)、国立がん研究センターHP、e-ヘルスネットHP(厚労省)、「からだのしくみ辞典」(日本実業出版社)、「アルコールと健康NEWS&REPORTS」(アルコール健康医学協会)、独立行政法人酒類総合研究所HP

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