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【シリーズ「恐ろしい飲酒習慣」第5回】

脱水、胃痛、吐き気、頭痛、睡眠障害……二日酔いの予防法は「す・て・き」を守ること

 だが、アルコールの弊害は、脱水症状だけではない。

 アルコールは、血管を拡張する働きがあるので、免疫反応や生体防御に促すサイトカインを大脳周辺の血管に増加させ、頭痛を引き起こす。日本酒に多く含まれるアデノシンのほか、アセトアルデヒドや酢酸も血管拡張作用があるため、血管が炎症を起こして片頭痛を起こしやすくなる。

 また、アルコールは、胃粘膜を傷つける。胃は、胃酸が細菌やウイルスの侵入を防御しながら、胃粘液によって胃粘膜を守っている。だが、アルコール濃度の高いウイスキーやジンだけを大量に飲み続けると、胃粘液の分泌バランスが崩れ、胃粘膜がダメージを受けるので、胃痛や吐き気を起こし、二日酔いにつながる。

 さらに、アセトアルデヒドは、毒性があるため、アルコールの血中濃度が高まれば、頻脈が現れたり、皮膚や顔が赤くなったり、吐き気を催したりする。

 しかも、肝臓は、アルコールやアセトアルデヒドを最優先に分解するので、栄養素の代謝が遅れたり、グリコーゲンからブドウ糖を合成する働きが抑制されることから、血糖値が上がらないアルコール性低血糖の状態に陥る。アルコール性低血糖の状態が続くと、無気力感や空腹感に襲われる。飲んだ後のシメに、ラーメンやお茶漬けなどの炭水化物(糖質)が欲しくなるのは、低血糖の状態を改善し、血糖値を上げる自然な生理作用だ。

二日酔いにならないために「す・て・き」を守ろう!

 脱水症状にスポーツドリンク、しじみ味噌汁、お茶など、アルコール性低血糖にオレンジジュース、レモンジュース、コーンフレークなどは、二日酔いに効果がある。

 二日酔いの予防だが、特効薬はない。二日酔い防止ドリンクの常用は避けたい。二日酔いにならないために、酒を飲む時は「す・て・き」を守ろう。「す・て・き」は、水分補給・適量・気持ちよく愉しみ、休肝日をとること。ゆっくり、ゆったり、酒を愉しもう!
(文=編集部)

参考:「おもしろサイエンス お酒の科学」(日刊工業新聞)、国立がん研究センターHP、e-ヘルスネットHP(厚労省)、「からだのしくみ辞典」(日本実業出版社)、「アルコールと健康NEWS&REPORTS」(アルコール健康医学協会)、独立行政法人酒類総合研究所HP

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