腸の健康状態を把握するには、便の状態を見るといい。便の重量の約8割は水分だが、残りは、食べ物のカス、腸からはがれた粘膜、そして腸内細菌の死骸などである。そのため便は、腸内環境がしっかり反映される。
理想的な便とは、1日1~2回の回数で、硬さはバナナ状から半練状。色は黄色から黄褐色をしており、においがあまり強くないことが望ましい。便が出ていても硬くて排便しづらい場合やうさぎの糞のようなコロコロ状の便は便秘ぎみ、泥状や水状の場合は下痢ぎみということになる。また、便の色が茶褐色や黒褐色の場合には、肉類や脂肪類のとりすぎ、あるいは腸内の悪玉菌の増加が考えられる。
おならも同様に、腸内環境を反映する。おならが出やすく、においがきつい場合には、悪玉菌が多い証拠だ。
一般的に女性は便秘に、男性は下痢に悩まされているという報告がある。慢性的な便秘は悪玉菌の温床となり、悪玉菌から発生した有毒な物質やガスをいつまでも腸内にためこんでしまう。有毒な物質の中には大腸がんの原因となる物質も含まれる。実際、腐敗便がたまりやすい直腸とS状結腸に大腸がんは多発する。
また、有害物質は大腸粘膜の血管から血液を通して全身に運ばれ、頭痛や肌荒れ、口臭や体臭などの症状を引き起こす。
便秘は腸内環境にとっては大敵だが、便の通過が早すぎる下痢も問題になる。大腸での便からの水分の吸収は、体内の水分のコントロールにも関わっているためだ。
積極的にとりたい食物繊維と乳酸菌
腸内環境を整え、快便を促すのにはまずはふだんの食生活を見直すことが大切になる。その特効薬となるのが、いうまでもなく乳酸菌だ。乳酸菌は腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌を減らして元気な腸をつくる。
同時にとりたいのが食物繊維。食物繊維は小腸で消化されずに大腸まで達して、そこで水分を十分に吸収してふくらみ、便通を整える。さらに、食物繊維は乳酸菌のエサとなって乳酸菌を増やす作用がある。
食物繊維は、いんげん豆や枝豆、みそ、納豆などの豆類や豆製品、ごぼうやほうれん草などの野菜類、きのこ類や海藻類などに多く含まれる。乳酸菌とともに、ふだんの食生活では意識して食物繊維をとるようにしていきたい。