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【連載「恐ろしい危険ドラッグ中毒」第14回】

最悪は死に至ることも! "麻薬成分"フェンシクリジン(PCP)を含む危険ドラッグの恐怖

 PCPは1950年代に米国で麻酔薬として開発されたが、麻酔より覚醒する際に幻覚、妄想、暴力行為を引き起こすなどの副作用が認められたため、使用されなくなった。しかし、その後、幻覚剤として乱用されるようになった。

 わが国では麻薬として取り扱われている。麻薬中毒患者が、タバコに付着させて吸引することによって使用するケースが多い。長期に乱用すると、思考鈍麻、記憶力減退、うつ状態、嗜眠、昏睡、集中力低下、けいれんなどの症状を呈する。また、幻覚や幻視に悩まされ、最悪のケースでは突然死に至る。 

 現在、危険ドラッグに関しては、包括指定制度などの法の整備、マスコミによる注意喚起、警察による取り締まり、摘発によって症例数の減少を認めている。しかし、危険ドラックの依存例および死に至る重症例は増加している。これは危険ドラッグの成分に、麻薬や覚醒剤の成分が混入されていることが大きな要因となっている。

 危険ドラッグを取り扱うショップは激減したが、インターネットを利用した入手が後を絶たない。ドラッグを撲滅するためには、インターネットに対する何らかの規制の強化が必要であろう。また我々も危険ドラッグに手を出さないことが何よりも重要であろう。  

連載「恐ろしい危険ドラッグ中毒」バックナンバー

横山隆(よこやま・たかし)

小笠原記念札幌病院腎臓内科。日本中毒学会認定クリニカルトキシコロジスト、日本腎臓学会および日本透析学会専門医、指導医。
1977年、札幌医科大学卒、青森県立病院、国立西札幌病院、東京女子医科大学腎臓病総合医療センター助手、札幌徳洲会病院腎臓内科部長、札幌東徳洲会病院腎臓内科・血液浄化センター長などを経て、2014年より札幌中央病院腎臓内科・透析センター長などをへて現職。
専門領域:急性薬物中毒患者の治療特に急性血液浄化療法、透析療法および急性、慢性腎臓病患者の治療。
所属学会:日本中毒学会、日本腎臓学会、日本透析医学会、日本内科学会、日本小児科学会、日本アフェレシス学会、日本急性血液浄化学会、国際腎臓学会、米国腎臓学会、欧州透析移植学会など。

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