昨年10月末に顔面神経麻痺を患ったお笑いコンビ・TKOの木下隆行さん(写真は公式Twitterより)
昨年10月末に顔面神経麻痺を患ったとツイッターで報告をしたお笑いコンビ・TKOの木下隆行さん。異変に気づいた木下さんが都内病院にて検査を行ったところ、顔の左側、顔面神経麻痺と診断されたが、精密検査後、比較的軽度の症状だった。担当医師の指示のもと通院治療を行い、番組スタッフとも相談をしながら仕事を続行している。半年以上経った現在、麻痺を自覚することも減り、通院もなく、定期診断のみだという。
顔面神経麻痺とは、どのような病気か?
顔面神経麻痺の主な症状を、藤田保健衛生大学七栗サナトリウム病院長・園田茂先生は次のように語る。
「顔面神経は、文字通り、顔の表情筋を動かす神経です。そのため、麻痺すると、顔の筋肉が思ったように動かせなくなり、顔が非対称になります。口の横の溝がなくなる、口角から水がこぼれる、まぶたが閉じられなくなる、額のしわ寄せが出来なくなるなどです」
TKO木下さんは急性末梢神経麻痺(ベル麻痺)と報じられているが、ベル麻痺を含めて、顔面神経麻痺の原因は、大きく二つに分けられる。
「顔面神経麻痺は、末梢性顔面神経麻痺と中枢性顔面神経麻痺に分かれます。末梢神経麻痺ではベル麻痺と呼ばれる原因不明の急性末梢神経麻痺が多数を占めます。ベル麻痺の原因としては、ヘルペスウイルスとの関与を示唆されていますが確定していません。末梢性では他に外傷、腫瘍、帯状疱疹ウイルスなどによる顔面神経麻痺があります。中枢性では脳卒中によるものが多いです」
人間の筋肉は運動神経から脳の指令を受けて動くという仕組みだ。脳から伸びた運動神経は左右の耳のあたりにある骨のトンネルをくぐり抜けて顔の左右に広がる際に、何らかの原因で神経がはれてしまう。すると狭い穴の中で神経が圧迫されて顔の筋肉が自由に動かなくなるのが、急性末梢神経麻痺(ベル麻痺)だ。
また、関与が確定していないが、もしヘルペスウイルスが及ぼすのなら、疲れや睡眠不足、ストレスなどが重なり体の抵抗力が弱まると、普段は隠れていたはずのヘルペスウイルスが動き出すため、顔面神経が麻痺するといえるだろう。