小麦粉や黄な粉などの粉類は、常温のまま保存することが多い。だが、お好み焼き粉やたこ焼き粉、ホットケーキミックスなどは、粉以外のうまみ成分が加わっているため、ダニが大量発生しやすい。味つきの粉類は、開封したら一度で使い切るか、密閉容器に入れての冷蔵庫保存が基本だ。
塩と麹と水を混ぜながら発酵させた「塩麹」は、そこに肉や魚を漬け込むと旨味成分が増す。ところが、「使い回し」は、サルモネラ菌や大腸菌の繁殖につながる。生の食材を漬けた塩麹は、使い回しをせずに廃棄しよう。大きな容器に入れた塩麹の中に漬け込むのではなく、少量を肉や魚にすり込んで、密閉袋に入れて冷蔵庫保存、それで漬け込みはOKだ。
生卵をそのまま冷凍した「冷凍卵」は、殻をむくと白身はサラッと、黄身はもっちりとした食感で、味わいも濃厚になる。大手レシピサイトでもさまざまなアレンジレシピが掲載され、「不思議でおいしい」と大評判だ。しかし、冷凍することで菌が死滅したような錯覚に陥るが、そうではない。冷凍庫から取り出したら、1~2時間以内に食べきることが前提だ。
生ハムやスモークサーモン、ナチュラルチーズなど、冷蔵庫に長期間保存できて便利だ。だが、加熱せずに製造されるものには、リステリア菌が繁殖している危険があることを覚えておこう。リステリア菌は、一般的な食中毒菌同様、加熱で死滅する。しかし、4℃以下の低温や12%食塩濃度下でも繁殖する。
冷蔵庫を過信することなく、開封したら食べきるか、期限内に食べることを心がけよう。特に妊婦や高齢者、免疫機能が低下している人は、少量のリステリア菌でも敗血症や髄膜炎といった重篤な症状をきたす可能性がある。
人がアクティブになる夏は菌も活発に増殖する――、そう肝に銘じて、日頃から食品の扱いには特に注意を払いたいものだ。
(文=編集部)