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【連載第3回 眼病平癒のエビデンス】

地下アイドル仮面女子・神谷えりなを苦しめていた後天的な斜視とは?

 さて斜視にはどのような治療方法があるのでしょうか。
治療のためにはまず原因検索を行い、原因が見つかれば、その治療を行うことで、斜視が改善あるいは軽減することが期待出来ます。原因がはっきりしない時は、複視の程度を軽減する目的で斜視の治療を行ないます。

 そのひとつがプリズムメガネです。一般的には、まずプリズムという特殊なレンズを用いたメガネにより、目の中に入る映像を一つにする治療が行われます。

 ある程度の期間(6カ月程度)を経て症状が固定していれば、斜視の手術を行うこともあります。斜視の手術でも合併症のリスクがあります。特に小児では徐脈・不整脈・心停止の合併症が報告されております。この合併症は、「眼心臓反射」と言い、特に斜視のように眼筋を取り扱う手術で見られることがあります。

 また、斜視の程度が強い場合は、1回の手術では正位に出来ないため、術後に再度斜視になることもあり得ます。そのような場合は、再手術が必要になることがあります。神谷えりなさんの術後の経過が順調だといいですね。

 後天的な斜視は、先天性斜視の程度が軽く潜在化していたものが加齢により顕性化してくることも多く見られます。しかし、動眼神経麻痺の様に重篤は疾患で起きることもあります。物が2つに見えたり、目の位置が変わったと思ったら、放置せず早めに眼科専門医を受診することをお勧めいたします。

連載「眼病平癒のエビデンス」のバックナンバー

高橋現一郎(たかはし・げんいちろう)

くにたち駅前眼科クリニック院長。1986年、東京慈恵会医科大学卒業。98年、東京慈恵会医科大学眼科学教室講師、2002年、Discoveries in sight laboratory, Devers eye institute(米国)留学、2006年、東京慈恵会医科大学附属青戸病院眼科診療部長、東京慈恵会医科大学眼科学講座准教授、2012年より東京慈恵会医科大学葛飾医療センター眼科診療部長。2019年4月より現職。
日本眼科学会専門医・指導医、東京緑内障セミナー幹事、国際視野学会会員。厚労省「重篤副作用疾患別対応マニュアル作成委員会」委員、日本眼科手術学会理事、日本緑内障学会評議員、日本神経眼科学会評議員などを歴任。

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