一駅手前で下車、30分の早歩きでマイナス5kg/年!
糖尿病、高脂血症、高血圧の原因とされている「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)」。その"メタボ"を招く肥満が、心臓疾患や脳血管疾患などの重篤な病気の危険性を高める一因子であることはよく知られている。
アメリカでは、高学歴の人にジョギング愛好者が多くて肥満が少ないという統計データもあるほど、肥満への予防意識は高い。それがシビアなビジネスの世界においてはなおさら重要視される。健康的な体のほうが相手に与える印象が良いことは、誰にでも想像できるだろう。
アメリカのホテルでは、スポーツジムやプールがほとんど完備されている。出張先で仕事が終わった後に、就業前に、誰でも気軽に運動ができる環境が整っている。環境だけでなく、フィットネスで自己管理をするという健康意識も備わっている。
一方、日本人は、就業後も夜遅くまで居酒屋で一杯飲みながら仕事の話......という風景も珍しくない。結果的には、生活習慣病やストレスなどが引き金になって、過酷なビジネス戦線を離脱してしまうことになる。日本語の「過労死」が「Karoshi」として翻訳され、グローバルな共通語になっているは悲しい。
太りにくい体質をつくる基礎代謝アップの10習慣
さまざまなストレスによる過食や不規則な食生活、さらには運動不足などによって、いまはスマートな人でも簡単に太ってしまう可能性は誰にでも考えられる。肥満の原因となる脂肪は、日本肥満学会によると1kgで7000kcalの熱量があるとされている。
仮に1日の消費エネルギーが約2%(約40 kcal)低下したとする。これが毎日脂肪として体に蓄積されていくと1年後にはその365倍の14600kcal、体脂肪にして約2kgが付いてしまう。理論上では、2年で4kg、5年で10kg......と脂肪が蓄積されていく。
食事の量を変えずに、日常生活の中に運動を取り入れたとする。たとえば1日1回30分の早歩き。これで約100kcalが消費される。たかだかリンゴ1個分のカロリーしか燃焼しないのか、と思うだろうが、1年続ければ「100kcal×365日=36500 kcal」、約5kgの脂肪が減ることになる。
脂肪の蓄積によってもたらされる肥満は、生命に関わる重要な危険因子であることに間違いない。そこで、代謝をアップしてエネルギーを消費しやすい体づくりのポイントを紹介したい。応用生理学とスポーツ医学を専門とする京都大学大学院の森谷敏夫教授が提唱する「エネルギー消費のための10カ条」だ。太りにくい体質をつくるには、基礎代謝を上げなければならない。そのためには、筋肉と自律神経を鍛える必要がある。それを踏まえた「10カ条」だ。
①目指せ1日1万歩(約300kcal)。それが駄目なら30分の早歩き(約100kcal)
②買い物は歩いてカートを使わない
③ゴロ寝、昼寝は肥満の大敵
④一緒に運動、楽しい仲間(友人、家族、犬など)
⑤週末は運動不足になりにけり、弁当を持って野外で散歩
⑥歩数計、動いて楽しいトレーナー
⑦無駄に動いて、無駄肉なくそう
⑧動きは大きく全身で。流れる汗で脂肪は分解
⑨もう一歩、もう一段で運動ダイエット
⑩「あと1000歩」一駅手前で頑張ろう
まずは、できることからでいい。この"カラダ習慣"を実践し、肥満やメタボリックシンドロームの予防改善に役立ててもらいたい。何よりも日常生活に取り入れて、長く続けていくことが大切だ。フィットネスを極めるのは、「継続は力なり」。この一言に尽きるのではないだろうか。